理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 744
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内部障害系理学療法
術後脳梗塞による下側肺障害に対する理学療法の経験
*寺松 寛明, 渡部 浩二, 多田羅 昭二, 白澤 文吾, 花田 明香, 友澤 尚文
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抄録
【はじめに】今回、緊急開心術後に脳梗塞を合併した患者に対し、早期理学療法を試み経過良好な1例を経験したので、若干の文献的考察とともに報告する。
【症例】72歳、女性。突然の前胸部痛を自覚し、当院へ救急搬送された。胸部CT検査にて急性A型大動脈解離と診断され、手術目的で入院となった。
【術中所見】胸骨正中切開で心臓に到達し、人工心肺使用下、高度低体温、循環停止下に上行大動脈置換術を行った。術後は挿管状態のままICUへ帰室した。
【経過】開胸後の非効率的呼吸パターンに、体外循環に伴う高サイトカイン血症や、低体温による肺障害が加わり、呼吸状態が不安定であった。抜管までの11日間はSqueezingを中心とした呼吸理学療法と体位ドレナージを併せて行った。関節拘縮予防のための関節可動域運動も併せて行った。抜管後はシルベスター法及び自動周期呼吸法を指導し、自力排痰を促した。術中に合併した脳梗塞後左片麻痺と頚背部筋緊張亢進の影響にて、起居動作や端坐位の保持が困難であったため長期臥床を余儀なくされた。片麻痺及び筋緊張異常の改善と可及的早期の離床を目的とした運動療法を行った。徐々にADLは拡大しつつあったが、術後第32病日に呼吸苦が出現し、喘鳴及び呼吸音の減弱が認められた。胸部レントゲン写真及び胸部CT検査にて左下葉無気肺及び両側胸水貯留が認められた。この時点では自力での端坐位保持が困難であったことから、無気肺の主因として下側肺障害(以下DLD)が考えられた。気道分泌物のドレナージ、換気血流比不均等の改善を期待して、2~3時間毎に20分間の腹臥位を施行する腹臥位療法を追加した。更にネブライザーやSqueezingなども積極的に併用した。上記開始後数日で動脈血酸素分圧/吸気酸素濃度が上昇(100→167)し、呼吸困難も改善した。1週間後の胸部レントゲン写真で無気肺の改善が確認された。以後肺合併症を来すことなく経過した。術後第43病日に端坐位、第72病日に歩行が自立し、術後101病日に軽快退院した。
【考察】胸部、腹部外科術後の理学療法を終了する基準として、術後8日目で肺合併症を合併していないことと病棟内歩行が自立していることが挙げられている。本症例は術中に合併した脳梗塞の影響で、術後長期にわたって歩行を獲得出来ていなかった。呼吸理学療法及び運動療法を長期にわたり継続していたにも関わらず、無気肺を来した。その原因としてDLD及び胸水貯留が深く関与していると考えられた。腹臥位療法が無気肺や胸水貯留に効果的と言われている一方で、予防的腹臥位療法を検討した報告は少ない。本症例のように肺合併症の危険が高い例では、腹臥位療法がDLDの予防に効果的かもしれないと考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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