抄録
【はじめに】PTがチームスタッフの一員として参加する糖尿病教室は多くの病院で導入されている。患者指導する上で歩行量、注意すべき点などを個別にまとめた資料を利用するメリットは非常に大きいが、資料作成には時間と労力が必要であり業務負担も大きい。また、インスリン抵抗性改善などの観点から、歩行量の目標値についての報告はされているが、臨床の場面では関節などへの負担を懸念して、理想値よりいくらか軽減して設定し指導しているケースが多い。しかし、その軽減割合は年齢、状態などを参考に直感的に判断する場合が多く、標準化された指標の報告はない。加味する要因が多く、計算が複雑となり標準化を困難にしていると思われる。今回我々は、これらの問題に対しPersonal Digital Assistant(以下PDA)を利用したシステムを開発、導入し成果を得たので紹介する。
【導入の目的】
1)個別の状態に応じた個別指導用の資料を作成し、効率的な患者指導を行う。2)目標歩数を自動算出する事により目標値の標準化と検証を行う。
【システムの概略】
システム環境:FileMaker pro6(WinXP OS)、FileMaker Mobile(SONY CLIE PEG-NX60 PalmOS)を使用しオリジナルソフトを作成。患者情報に関する入力を出来る限り自動化、即時入力化し個別指導用の資料を印刷する環境を設定した。
入力項目:1)患者氏名、年齢、性別、を院内オーダリングシステムより自動入力。2)身長、体重、体脂肪率、糖尿病型、神経症の有無、網膜症の有無、関節痛の有無と部位、25m歩行時間と歩数を各測定時PDAに入力。
計算項目:1)年齢、性別、糖尿病型、関節痛の有無と部位より目標歩数を算出。2) 25m歩行時間と歩数より目標歩数に要する時間、距離、消費カロリーを算出。3)糖尿病型、神経症の有無、網膜症の有無、関節痛の有無と部位の情報をもとに注意点を自動的に文章化。
印刷内容:1)目標歩数をもとに、それに要する時間と距離、消費カロリー。2)その人の状態に応じた注意点を印刷。
【導入成果】このシステムの利用により当院で糖尿病教室の一環として行っているビデオ体操(約15分)の間に、個別指導用の資料を準備し、運動療法講義後すぐに個別指導する事が可能となった。誤解が生じない、わかりやすいとの評価を得ている。システム導入前の同作業と比較して約1時間の業務短縮が図れた。
【今後の展開】今回我々のシステムでは年齢、性別、糖尿病型、関節痛の有無と部位をもとに目標歩数を算出した。その数字の妥当性についてはまだ検証が必要であるが、複雑な要因の計算を可能としたことで、その検証についても今後可能になると考えている。