理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1207
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内部障害系理学療法
急性大動脈解離手術後に対麻痺を呈し、偽腔を開存させ麻痺が回復した症例
*久合田 浩幸岡本 賢太郎井上 宜充川 桃子荒井 哉美渡辺 麻美
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抄録
【はじめに】急性大動脈解離にて人工血管置換術、入口部閉鎖処置後に対麻痺を呈したが、血圧調節及び薬物療法にて偽腔開存させたことにより対麻痺が回復した稀有な症例を経験したので報告する。
【症例紹介】63歳女性。突発性頭痛・胸背痛あり意識消失。救急車にて当院搬送、急性大動脈解離(DeBakey1型、StanfordA)にて手術適応と判断され近院へ搬送。同日大動脈上行弓部置換術を低体温循環停止、脳分離下で施行された。偽腔は広範に及び鎖骨下動脈以下に残存したが、入口部閉鎖による自然閉塞が期待された。しかし術後2日目に対麻痺が出現。造影CT上左総腸骨動脈に残された再入口部より偽腔側から脊髄動脈が灌流されていることが確認された。偽腔開存が必要要件と判断され、血圧の再設定と抗凝固療法が開始された。術後4日目よりリハビリ開始、右下肢麻痺はMMT3~4レベル、左下肢麻痺は膝屈筋群の緊張が見られる程度に回復し、術後24日目にリハビリ目的にて当院転院となった。
【初診時所見】意識清明、BP139/87mmHg、脈拍数77/min整、左下肢優位の対麻痺でMMTは両上肢5レベル、体幹屈曲2、右下肢4レベル、左股関節屈曲2伸展1内転2外転2、膝関節屈曲2伸展1、足関節背屈1底屈2、母趾伸展1。Th7レベル以下の表在感覚は5/10に低下を認めたが深部感覚は正常であった。尿便意はあるが陰部知覚は不明瞭。その他自律神経症状なし、深部腱反射は正常で病的反射は認めなかった。床上動作は一部介助、坐位保持は軽介助にて5分可能。開始時Barthel index(以下BI)は45点、下肢ASIA motor scoreは右下肢19点、左下肢7点であった。
【経過】手術後26日目より端坐位保持訓練から開始。手術後30日目より坐位保持が20分以上可能、立位保持・車椅子移乗動作も軽介助で可能となり歩行訓練開始となる。その後、耐久性の向上を認め平行棒内歩行から歩行器歩行へと進むが、左下垂足が問題となりSHBを作製する。手術後60日目には近位監視下で60m程度のT字杖歩行が可能、それに伴い排泄面でのセルフケアーが自立。外泊訓練を重ね、屋内移動はつかまり歩き、屋外移動はT字杖監視レベルで退院となる。退院時BIは80点、下肢ASIA motor scoreは右下肢22点、左下肢は13点であった。右下肢の表在感覚は8/10まで回復。術後60日、150日目のCTでは偽腔開存していた。その他神経学的所見に変化は認めなかった。
【まとめ】対麻痺の原因は入口部を閉鎖したことによる脊髄への血流低下が考えられた。偽腔閉塞により再び対麻痺が起こると考えられ偽腔の血栓閉塞予防目的に抗凝固療法は必須であった。敢えて偽腔を開存させ血流を保つと共に、早期よりリハビリテーションを開始していたことが家庭復帰に至ることが出来たと考えた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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