抄録
【目的】脳卒中における急性期リハビリテーション(以下急性期リハ)に対するエビデンスは脳卒中ガイドライン2004等で周知されている.一方,急性期リハに影響を与えると考えられている基礎疾患の有無と脳卒中重症度評価基準(以下NIHSSとJSSと略す)との関係を示した調査結果は脳卒中急性期患者データベース構築研究など全国規模の検討がなされている.しかし,地域性を反映し,単一施設で行われた調査は少ない.そこで,今回,当院に脳卒中治療目的で入院された全ての患者に対し,基礎疾患の評価を含めたデータベース作成に取り組み、発症後2週間に於ける機能改善度を検討したの下記に報告する.
【対象と方法】平成16年5月18日より当院に脳卒中治療を目的で入院された患者全員(初発,再発を含む)を対象とした.方法は,主治医よりリハビリテーション(以下リハ)の処方を受けたのち,リハ担当スタッフが入院時及び2週間時,退院時のNIHSSとJSS及びBr.stageを評価する.また,基本情報を含め,基礎疾患の有無やコントロールの程度などの項目に関して,カルテより調査を行うこととした.各評価項目は,年齢・入院後翌日測定した血圧・血糖値・HbA1c・総コレステロール(以下TC)・中性脂肪(以下TG)・LDLコレステロール(以下LDL)・HDLコレステロール(以下HDL)・発症から受診するまでに要した時間(以下時間)の項目とした.統計解析ソフトは,SPSS 12.0にて単回帰分析方法を用い,5%未満を有意水準とした.
【結果】平成16年5月18日より11月8日までの間に調査を終えた患者182名に対しての結果は以下の通りである.182名の疾患の割合は,クモ膜下出血17名(9.3%),脳出血34名(18.7%),アテローム性脳梗塞68名(37.4%),ラクナ梗塞43名(23.6%),心原性脳塞栓20名(11.0%)であった.また,脳卒中初発者は129名(70.9%)であり再発者は53名(29.1%)であった.発症後2週間に於ける運動機能障害の改善度については,JSSではHDLが高いほど,また時間が短いほど改善し,また高齢になるほど,またLDLが高いほど改善度は悪い傾向にあった.また,Br.stageではTCとLDLが低いほど改善度は良い結果となった.その他の項目やNIHSSの全ての項目には,明らかな有意差は認められなかった.
【考察】当院の平均在院日数は,約18日であり急性期リハの重要性が示唆されている.急性期リハの目的は,早期離床と2次的合併症の予防であるが,当院では脳卒中患者の在宅復帰率も70%程度近くあることから,より早期の身体機能回復が求められる.よって,今回の調査結果は,基礎疾患所有者に対する1次予防の啓蒙に役立つものと考えられた.退院時の改善度については,第2報に委ねることとする.