理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1219
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内部障害系理学療法
姿勢の違いが心臓外科手術後の呼吸機能に及ぼす影響
*山田 宏美高橋 哲也熊丸 めぐみ廣瀬 真純河野 裕治畦地 萌横澤 尊代桜井 繁樹安達 仁金子 達夫大島 茂谷口 興一
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抄録
【はじめに】心臓外科手術後は,胸骨正中切開による創部の痛みや胸郭可動性の低下,麻酔などの影響,人工呼吸器装着などにより呼吸機能が低下する.そのため心臓外科手術後は,手術後早期から呼吸理学療法が必要となる.また,肺活量や機能的残気量などの呼吸機能は臥位で低下することが知られているため,病態の回復に応じて可及的速やかに座位や起立,歩行へとすすめることが重要だと考えられている.しかし,実際には心臓外科手術後に姿勢の変化がどの程度呼吸循機能に影響を及ぼすにかについての検討はない.本研究では,呼吸理学療法で特に重要な指標とされる肺活量slow vital capacity (SVC)と最大呼気流速(peak huff flow, PHF)をもちいて,心臓外科手術後患者の呼吸機能に与える姿勢の影響について検討した.
【対象】意識状態が清明で,整形外科疾患や脳血管障害などの合併症がない心臓外科手術後患者7例.対象の内訳は男性6例,女性1例,平均年齢59.6(59-78)歳,冠動脈バイパス術後患者4例,大動脈弁置換術後患者3例であった.
【方法】呼吸機能の測定は,チェスト社製電子スパイロメータ(Chestgraph HI-101)を用い,仰臥位と端座位にて,SVCとPHFを測定した.測定は手術前と手術後3日目,手術後7日目,手術後14日目とし,呼吸機能の測定時にはvisual analog scaleを用いて正中切開創の痛みの程度を調査した.また,診療録より対象者の年齢や性別などの基礎情報,手術前のNYHAの分類,手術記録から大動脈遮断時間,体外循環時間,麻酔時間,出血量,抜管までの時間などの手術状況を調査した.循環動態の指標として看護記録よりカテコラミン量や酸素投与量,中心静脈圧(CVP)なども合わせて調査した.対象者にはテストに先立ち,本研究の趣旨と手順,リスクなどを説明し同意を得た.
【結果】手術前の仰臥位SVCは座位SVCに比べて約130ml少なく,同様に手術後3日目と手術後7日目の仰臥位SVCは座位SVCに比べて約300ml(約7%)有意に低値を示した.また,手術後3日目の仰臥位SVCは手術前値に比べて48%に低下し,手術後7日目は64%,手術後14日目は79%まで改善した.手術後3日目の座位SVCは手術前値に比べて55%に低下し,手術後7日目は72%,手術後14日目は78%まで改善した.一方,手術前の仰臥位PHFは座位PHFに比べて約600ml/s少なく,手術後3日目と手術後7日目の仰臥位PHFは座位PHFに比べて約400ml(約5%)低値を示した.
【まとめ】心臓外科手術後の呼吸機能は姿勢による影響をうけ,特に手術後急性期では姿勢がSVCとPHFに強く影響することが示された.
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© 2005 日本理学療法士協会
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