理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1220
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内部障害系理学療法
壮年者心筋梗塞患者におけるQOLへの影響について
*柳澤 千香子押見 雅義鈴木 昭広齋藤 康人礒部 美与斎藤 恵洲川 明久
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キーワード: 急性心筋梗塞, 壮年者, SF-36
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抄録
【目的】AMI患者の心臓リハビリテーションを行う際、主要な目的の一つとしてQOLの改善をはかることがあげられる。今回は就労対象となりうる壮年者AMI患者のQOLへの影響を評価・検討した。また、運動耐容能や患者教育への影響についても高齢者と比較を行い、検討を行った。
【方法】対象は、当センターで過去2年間において心リハを行った初回AMI症例220例のうち、重症心不全などの合併症がなく6ヶ月間経過を追えた55例(平均年齢58.8±7.2才、maxCK3533.1±2188.4IU/L、EF46.4±11.4%)である。60才未満の壮年者(A群)34例と60才以上の老年者(B群)21例の2群間で検討を行った。入院時の緊急冠動脈造影により梗塞責任血管が確認され、冠動脈形成術が施行された。QOL評価は、AMI発症後1・6ヶ月後にSF-36を実施した。日本人の国民標準値を元に8つの下位尺度:身体機能(PF)、日常役割機能・身体(RP)、体の痛み(BP)、全体的健康感(GH)、活力(VT)、社会生活機能(SF)、日常役割機能・精神(RE)、心の健康(MH)および2つのサマリースコア:身体的健康度(PCS)、精神的健康度(MCS)を調査した。運動耐容能については同時期に心肺運動負荷試験を行い、PeakVO2値を測定した。また運動習慣については、質問紙により調査した。
【結果】1.QOL評価についてA群とB群の比較では、1ヶ月目でRPとREの2項目がA群で有意に低かった。6ヶ月目では全項目で両群に有意な差はなかった。A群の経過では、6ヶ月目でRP、GH、VT、SF、RE、MHの6項目に有意な改善がありMCSでも改善があった。国民標準値に達したのは、下位尺度PF、BP、VT、SF、RE、MHの6項目およびMCSであった。B群の経過では、6ヶ月目でVT、REの2項目に有意な改善がありMCSでも改善があった。全下位尺度およびMCSで国民標準値に達した。2.運動耐容能についてA群では、1ヶ月目26.4±3.5ml/min/kgから6ヶ月目28.9±8.4ml/min/kgと有意に増加した。B群では、1ヶ月目22.6±4.3ml/min/kgから6ヶ月目23.6±3.9ml/min/kgと有意に増加した。運動耐容能の変化率は両群で有意差はないが同様に増加傾向を示した。3.運動習慣について、週2・3回以上ありはA群で58.8%・B群で52.4%、習慣なしはA群で35.3%・B群で33.3%となり、両群同様の結果であった。
【考察】SF-36を用いたQOL評価の結果、AMI発症直後の壮年者のQOLの低下は明らかだった。就労年齢であることから社会復帰・復職の問題などかかえており、身体的理由や心理的理由からQOLは低値を示したと考えられる。しかし、運動習慣の習得など生活指導を含めた患者教育を行ったことで運動耐容能も改善し、6ヵ月後のQOL評価ではサマリースコアでも改善がみられ群間差はなくなった。壮年者・老年者共に継続的に経過を追って指導できたことで、身体機能や機能障害に対しての制限は残るものの、心理的問題による社会活動や役割活動への影響に改善がはかれたことが示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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