理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 164
会議情報

生活環境支援系理学療法
離島における在宅高齢者の運動能力と活動能力の実態
*黒後 裕彦宮原 洋八
著者情報
キーワード: 離島, 高齢者, MFS
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】
 この調査の目的は離島における在宅高齢者を対象に運動能力、生活関連活動の調査を行いそれらの関連を明らかにすることである。
【対象と方法】
 本研究の対象地域であるY島は鹿児島から南西へ下ること約430kmに浮かぶ奄美諸島の一部で、面積14km2 の離島である。平成15年度の総人口は153人であった。調査の対象者は島在住で65歳以上の全員(77人)中、調査期間中にアンケートを回収できた67名であった。65~69歳では男性7名、女性10名で、70歳代では男性14名、女性23名、80歳代では男性6名、女性7名であった。調査は郵送によるアンケートにより行われ、その項目は身長、体重、家族数、MFS(motor fitness scale)、老研式活動能力指標(以下、老研式)であった。
【結果】
 身長と体重は65~74歳の男性では157.4±4.1cm、54.3±7.6kg、女性では148.2±6.4cm、51.0±8.6kgであり、75歳以上の男性では157.2±5.9cm、54.6±9.2kg、女性では146.4±5.7cm、47.8±7.6kgであった。家族数は65~74歳では2.0±0.8で75歳以上では1.5±0.6であった。MFSは65~69歳では9.8±3.8、70~74歳では8.8±4.2、75~79歳では7.1±4.3、80歳以上では7.5±4.6であった。老研式の得点は65~69歳では11.1±2.5、70~74歳では11.0±2.4、75~79歳では9.7±3.1、80歳以上では10.4±4.2であった。MFSと老研式との相関は0.579であり有意を示していた。
【考察】
 MFSは他の地域での調査と比較しても低い値であり、このことは運動能力が高くないことを示している。その原因として生活の活動範囲が狭くてすむことや、身長と体重が標準値に比べ小さく栄養を摂取する環境が十分でなかった可能性があるなどが考えられた。
 80歳以上のMFSと老研式の値が70歳後半の群に比較して低くなかった。このことは、80歳以上の高齢者の運動能力や生活活動能力が維持されたのではなく、これらの能力が低下した場合、島を離れるためと考えられた。介護施設がなく家族などの介護者も少ないこの島では、自立生活ができないと島では生活しずらいからである。それゆえ運動能力や生活活動能力に関して、75歳後半の群が示す値はこの島で自立して生活できる下限の値を示している可能性がある。
 MFSと老研式の各項目別の相関は有意であった。運動能力の向上が生活活動能力の向上に関連が認められた。それゆえ、前期高齢者の体力向上に関してなんらかの介入の必要性が示唆された。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top