抄録
【目的】
転倒予防に関して様々な取組みが行われ理学療法士としてどのようなスタンスで取り組むべきかその方法についての指標は少ない。今回、宮崎県都城市から宮崎県理学療法士会に依頼のあった「転倒・骨折予防骨こつ教室」(以下、骨こつ教室)に参加する機会を得て参加者の医学的情報の聞き取り調査・身体機能の評価を行った。
【対象と方法】
「骨こつ教室」に参加された36名(男性3名女性33名)平均年齢70.2±6.9歳1)「骨こつ教室」の概要:都城市健康課の呼びかけにて、平成15年10月より開始し年8回開催している。内容は、転倒に関しての講話・ストレッチ・下肢筋の筋力増強・集団体操・質疑応答を行っている。2) 医学的情報の聞き取り調査:参加者数・性別・年齢・身長・体重・BMI・基礎疾患・服薬・転倒歴(過去1年間)・鈴木らの開発した自己効力感尺度に関しての調査を行った。3) 身体機能の評価:転倒歴より転倒群・非転倒群に分類し握力・TUGT・下肢筋力測定を初回時を1回目6ヵ月後を2回目とし比較した。下肢筋力測定にはハンドヘルドダイナモメーターを用い腸腰筋、大腿四頭筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、腓腹筋の最大等尺性筋力を測定し1回目、2回目の転倒群・非転倒群2群間をMann-WhitneyのU検定を用い行った。
【結果】
1)参加者数は、1回目36名2回目29名であった。BMIは、1回目22.6 2回目23で、基礎疾患は、高血圧、骨粗鬆症、整形的疾患が多く既往のない方は19%であった。服薬については、基礎疾患に伴う薬の服用が多く睡眠薬・精神安定剤服用の方は認めなかった。過去1年間の転倒の有無は、経験有りの方が31%で2回目41%であった。また、鈴木らの自己効力感尺度の調査では、入浴・家の周りを歩く項目について大変自信があると答えた方と自信がない方双方格差が広がる結果となった。2)身体機能評価では、1回目・2回目の転倒群、非転倒群の平均握力、TUGT、下肢筋力測定における各項目間での有意差は認めなかった。
【考察】
今回の結果にて参加者数減少・自己効力感尺度調査結果の原因として、一つに教室内容にも問題があると考え内容再考し運動アドヒアランスを高める方法への展開、アミューズメント性やシリーズ化を検討し実施していく必要があると思われた。BMIや基礎疾患・投薬においては転倒への影響は認められなかったが、継続した調査を行うことで転倒のスクリーニングへ応用できないか検討していきたい。身体機能の評価では、個々の筋力の評価はもとより、筋力をパフォーマンスへどう結びつけるか、さらに身体イメージや動作スキルの評価も必要であると考えられた。今回、「骨こつ教室」において参加者の状況を把握することができた。今後さらに継続した調査を行うことにより基礎データを考慮した個別プログラム作成や指導を行っていきたい。
尚、本研究の一部はH16年度宮崎県理学療法士会研究助成事業によった。