理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 166
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生活環境支援系理学療法
軽運動の継続が要支援又は要介護高齢者の心身機能に及ぼす影響
*生田 泰敏岩月 宏泰
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抄録
【はじめに】近年,健康又は有疾高齢者の健康維持のために,高負荷筋力トレーニング,転倒予防教室などが自治体及び諸施設で試みられている.これらの高齢者に対する介入の多くは効果的と考えられているが,その内容や到達目標が高い場合にはコンプライアンスも悪くなる.そのため,介入は対象となる個人のQOLを向上させ,運動習慣を定着させるための手段とすることが勧められている.今回,我々は要支援および要介護高齢者を対象に軽運動を6週間実施させ,身体及び精神機能への影響について検討した.
【方法】対象は特定施設入所者生活介護に入所中の要支援又は要介護高齢者17名(男性1名,女性16名,平均年齢83.2±6.7歳)であり,本研究の趣旨を理解し承諾の得られた者であった.対象者の介護度は要支援及び要介護度1~3であったが,意思表示及び口頭指示に従うことが出来た.方法は予め我々が上肢,首,体幹,下肢をゆっくり動かす軽運動(総時間20分)の教材ビデオを作製し行った.対象者は施設の1か所に集合し,その教材ビデオを観ながら理学療法士とともに体操を1週5日の6週間実施した.軽運動前後の心身機能の変化は身体機能(肩・体幹の柔軟性,握力及び落下棒テスト),ADL(機能的自立度評価法:FIM),精神機能(PGCモラールスケール:MS)で調査した.また,毎回の軽運動終了時には対象者から気分・食欲・睡眠・感想を聴取した.
【結果と考察】初回と6週後の比較では肩・体幹の柔軟性に軽度改善がみられたが有意ではなかった.落下棒テストでは反応の改善が認められた(p<0.05).また,MSでは孤独感の得点(幸福度)が有意に高くなった(p<0.05).しかし, FIM得点や握力には変化を認めなかった.なお,毎回軽運動後に聴取した項目のうち,食欲,睡眠は6週後でも変化がみられなかったが,軽運動後の感想は初回から爽快感や達成感を認めていた.今回,要支援,要介護高齢者に対して6週間にわたり軽運動を行った結果,肩・体幹の柔軟性,敏捷性の向上及び孤独感の項目に改善がみられた.これは集団で行う体操により他者との動きに合わせて自然に体を動かし,普段の生活の中であまり行わない上肢の挙上,体幹の回旋を意識的に大きな動作で行ったためと考えられる.さらに,週5日決まった場所と時間で定められた運動を行うことが対象者に集団への帰属を促したものと考えられる.
【まとめ】今回,要支援又は要介護高齢者の運動機能を配慮した教材ビデオによる軽運動を継続させた結果,運動を日常生活に定着させることが出来た.今後は軽運動指導に他職員への協力を促し,対象者のADLの向上や生活への意欲を高めたいと考えている.
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© 2005 日本理学療法士協会
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