理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 167
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生活環境支援系理学療法
男性退職者の自覚的健康度に及ぼす運動の影響
*盛田 寛明佐藤 秀紀
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キーワード: 退職者, 自覚的健康度, 運動
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抄録
【目的】自覚的健康度は,平均余命や死亡予測などの生命予後に影響を及ぼすとともに,その健康指標としての有用性が示されている。しかし,我が国において良好な自覚的健康観を持つ者の割合は約44%にすぎない。自覚的健康度には運動実施状況が影響するとされ,60歳未満の中年者でも同様の知見が示されている。一方,会社員等のホワイトカラー職では,心身の自覚的訴えが低いものの,女性より男性の精神的疲労の感受性が強い。また,60歳以上の男性では自覚的不健康の危険度が高いことが示されているが,男性退職者の自覚的健康度と運動との関係に関する報告は見当たらない。本研究の目的は,男性退職者の自覚的健康度と運動実施状況との関係性を分析することである。
【対象と方法】対象は,北海道・関東・北陸・関西・中国・九州・沖縄地区の企業または団体に勤務していた,55歳以上の退職後3年以内の男性退職者654名(平均年齢61.8±2.5歳)であった。うち,65歳未満の者を中年群(552名,平均年齢60.9±1.6歳),65歳以上の者を高齢群(102名,平均年齢66.4±1.6歳)とした。
 調査は,郵送法,自記式(無記名)にて実施した。自覚的健康度の測定は芳賀らの健康度自己評価を使用し,「健康でない」「あまり健康でない」「まあ健康」「非常に健康」の4カテゴリーとした。運動の実施状況は,退職前と比べた運動やスポーツの実施頻度の変化を「増えた」「変わらない」「減った」「やめた」「以前からしていない」の5段階評定で測定した。また,現在の運動やスポーツの実施の有無を「している」「していない」の2段階評定で測定した。解析は,等質性分析によった。各尺度のカテゴリーの数量化を2次元座標上に布置し,中年群と高齢群で各カテゴリー間の位置関係を比較した。
【結果】等質性分析の結果,カテゴリーの数量化の点グラフより,近い位置関係にあるカテゴリーは,中年群で「している」「増えた」「変わらない」「非常に健康」「まあ健康」であり,高齢群では,「している」「減った」「まあ健康」「健康でない」であった。
【考察】中年群では,現在運動を実施している者は退職前に比べてその頻度が増加もしくは変わらず,自覚的健康度は良好である傾向が示された。高齢群では,現在運動を実施している者は退職前に比べてその頻度が減っており,自覚的健康度は良・不良が混在する傾向が示された。先行研究では,良好な自覚的健康度の獲得のために,運動継続の習慣を40歳代からもつことの重要性が示されている。反面,運動を実施している者の割合は30%程度にすぎないことも指摘されている。本結果で,中年群では退職前と同程度もしくはそれ以上の運動の継続的な実施が,良好な自覚的健康度に寄与する可能性が示された。このことからも,運動継続の習慣に関する啓発活動が必要と考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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