抄録
【はじめに】
当院は回復期リハ病棟を3病棟180床で運営しており、退院後の「するADL」を見据え各専門職が協業しチームアプローチを展開している。開設当初より在宅復帰率は約70%を維持している。回復期リハ病棟での成果をいきいきとした在宅生活に結びつけるには地域のケアマネジャーなど多職種との連携を強化することが不可欠であり、当院では入院中の在宅支援が切れ目なく地域生活へ展開されるよう、当院独自の連携手法である「経過的ケアプラン」を用いている。今回、この「経過的ケアプラン」についてPTの関わりを併せ紹介する。
【経過的ケアプランとは】
経過的ケアプランは、A、B、Cの3型に分類される。Aは当院より60km圏外からの入院患者や在宅生活が介護支援を主目的としている患者で、身近なケアマネジメントが退院当初から必要と判断され、居宅介護支援事業所に移行するケース。Bは60km圏内の入院患者や自立促進のため入院中のリハプログラムが反映されるケアプラン立案が必要であり、一旦当事業所で支援を行い2~3ヶ月後に地域の事業所へ移行するケース。Cは当院かかりつけ及び当通所リハ・訪問リハを利用し当事業所の継続支援が必要なケースが対象となる。3型のいずれかは本人・家族の意向を踏まえカンファレンスを通しリハチームの中で総合的に判断される。
【経過的ケアプランにおけるPTの関わり】
入院当初より、当院回復期リハ病棟Working Scheduleに従いPTを含め各専門職が「するADL」を見据えリハビリテーション総合実施計画書(以下、計画書)を作成し訓練を実施する。この計画書にそった治療訓練の成果をケアプランへ引き継ぐことが重要であると考える。訓練に併せPTは試験外泊等を通して自宅での諸動作・移動を評価し、住環境整備のポイント等を明確にすることや退院後に予測される課題を当院独自のリハシステム「ゆふりはVersion4.0」にて退院前にケアプラン案や情報提供書に集約しMSWへ申し送る。またB・C型ではリハカンファレンスや退院前訪問指導の際に同席した担当ケアマネにもリハ成果や情報を提供している。更に退院後に開催されるサービス担当者会議にPTも参加し、退院後の目標達成度の確認やこれ以降の目標設定にも関わっている。
【まとめ】
リハ医療の流れが急性期・回復期・維持期と明確にされる中、回復期リハ病棟は急性期医療と地域の橋渡し役として重要な位置を占めている。当院では紹介した「経過的ケアプラン」を用いて、退院直後の不安の強い時期をフォローし早期に在宅生活を軌道に乗せるよう支援している。ここでのPTの役割は、リハチームとして計画書をもとに進めてきた成果をケアプランに引き継がれるよう働きかけることである。このことが、より効果的で効率的な自立支援へつながり、病期を問わず一貫したリハビリテーションの展開に繋がると考える。尚、発表時には症例を交え報告する。