理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 793
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生活環境支援系理学療法
便座面の形態の違いによる立ち上がり動作への影響について
―関節間力と重心移動軌跡による検証―
*金井 秀作長谷川 正哉小野 武也沖 貞明大塚 彰坂口 顕
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抄録
【目的】
 運動能力に制限のある障害者や高齢者にとって排泄動作の自立はADLの中でも価値の高い動作であり,そのためポータブルトイレの利用頻度も医療関連施設および在宅において高いことは周知の事実である.一方,ポータブルトイレの実際の使用現場ではその簡易さを生かし,底面への補高の設置など工夫されていることが多い.また,その中でも便座からの立ち上がりおよび便座への座り込み動作では転倒の危険性も高いことから,既存の立ち上がり研究を参考とした座面の高さや座面傾斜角度の調整に理学療法士が関わることも多い.しかし,ポータブルトイレ市場の広がりとともにその便座面の種類も増えているがその座面特徴による比較検証は数少ない.そこで一般にポータブルトイレの設置において推奨される座面高と座面傾斜での立ち上がり動作に対する座面の違いによる影響を関節間力と身体重心軌跡により検証した.
【方法】
 対象は身体条件の類似した健常男性10名とした.計測条件は座面の高さを45cm,傾斜を0度と10度とし,便座面をプラスチック製(以下,PLタイプ)とラバークッション製(以下,RCタイプ)の2種類とした.計測機器・設定として,Vicon512三次元動作解析システム(Oxford Metrics社製)・フォースプレート(Kistler社製)にて座標・床反力データを計測し,関節間力等の計算はARMO(g-sport社製)を使用した.なお,体表指標点としてDIFFファイル形式の10点マーカー(臨床歩行分析研究会)を使用した.分析項目は股関節および膝関節の関節間力絶対値(N)と身体重心軌跡長(cm)2方向(前後,高低)とした.なお,2種類の座面による比較検定にはt-testを用いた(p<0.01).
【結果】
 座面傾斜0度における関節間力の結果は,股関節,膝関節ともにRCタイプの方がPLタイプよりも低い値となったが有意差はみられなかった.また,身体重心軌跡では前後軌跡長および高低軌跡長にてRCタイプの方がPLタイプよりも低い値となり,高低軌跡長にのみ有意差がみられた.一方,座面傾斜10度における関節間力の結果は,股関節においてRCタイプの方がPLタイプよりも有意に低い値となったが膝関節では有意差はなくほとんど差はみられなかった.また,身体重心軌跡では座面傾斜0度での結果と同様に前後軌跡長および高低軌跡長にてRCタイプの方がPLタイプよりも低い値となり,高低軌跡長にのみ有意差がみられた.
【考察】
 座面傾斜0度および10度での関節間力においてRCタイプがPLタイプに比べ低い傾向が得られたのは大腿裏部と座面の可動性によるものと思われ,RCタイプでは座位姿勢をあまり崩すことなく重心を関節中心点に近い方向へ移動できる優位性が合ったものと考えられる.この座面上での可動性の差が重心移動軌跡の差にも影響していることがうかがえる.
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© 2005 日本理学療法士協会
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