理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 619
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物理療法
タイプ別軽症腰痛者における腰椎間歇牽引の治療効果と腰部皮膚知覚閾値の変化
*井ノ上 修一天満 和人
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抄録
【目的】本研究の目的は、軽症腰痛者のタイプ毎に腰椎間歇牽引の治療効果と牽引前後の腰部皮膚知覚閾値の変化を健常者と比較検討することである。
【方法】対象は、実験内容を了承したボランティア学生12名(腰痛者6名・健常者6名、年齢:23.33±4.56歳、身長:1.71±0.06m、体重:68.58±8.57kg、全て男性)で、詳細な評価により腰痛者は、腰椎運動と同時に痛みが生じる椎間関節機能異常3名(A群)と講義など長時間の座位で腰痛が生じる椎間板性もしくは筋性腰痛2名(B群)、仙腸関節機能異常1名(C群)に分かれ、健常者もまったく腰痛のない者3名(D群)と時に軽い腰痛などが生じる者3名(D群)に分類された。牽引装置はOG技研社製オルソトラックOL-1100を用い、三角脚台を膝下に置いた背臥位で、牽引力を体重の1/3とした間歇牽引(牽引10秒休止10秒)を10分間施行した。皮膚知覚閾値の測定は、OG技研社製レコーディングクロナキシーメーターCX-3の低周波治療モード200Hz方形波を用い、電極をJacoby線高位に左右貼付し、知覚できる最小電流値を牽引前後で測定した。測定は腹臥位、端座位、立位の3つの肢位で各3回行い平均して、牽引前後の増減を求めた。
【結果】1.牽引効果の比較:最も効果が得られたのはA群で、3名とも「心地よい」という主観的効果とともに牽引直前の運動時痛が消失または半減した。B群は即時的な効果としては主観的改善のみであったが、牽引をほぼ毎日施行するうちに長時間座位時の腰痛が減少してきた。逆にC群では牽引による症状悪化が起こり、10秒牽引を3回行ったところで疼痛増悪のため牽引を中止してしまった。2.皮膚知覚閾値の比較:A群0.32±0.81mA、B群0.71±1.10mA、C群0.86±0.45mA、D群-1.81±2.65mA、E群-0.08±0.36mAと腰痛者では閾値が上昇、健常者では下降する傾向が見られたが、統計学的な有意差は認められなかった。
【考察】椎間関節機能異常により腰痛が生じていると推測されるA群で即時的効果が得られたことについては、リズミカルな間歇牽引により牽引療法の一般的効果の一つである「椎間関節の軽度の変位矯正」が作用し、腰椎運動時の椎間関節の滑り運動が改善されためではないかと考える。また症状が悪化したC群においては、牽引によって仙腸関節に異常なストレスが生じ、症状悪化が生じたのではないかと考える。実際、本ケースでは仙腸関節の過可動性を推測させる離開テストが陽性であった。さらに比較的緩やかな効果が出たB群では、牽引を継続することで牽引療法の効果とされる「椎間板内圧の陰圧化」と「腰部筋へのマッサージ効果」が作用したのではないかと思われる。
【まとめ】腰椎間歇牽引は椎間関節機能異常に即時的効果があり、仙腸関節機能異常には禁忌である。
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© 2005 日本理学療法士協会
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