抄録
【目的】
近年では人工電磁場環境における電磁波が健康に障害を及ぼす可能性が取り上げられている。特に物理療法室では極超短波治療器(以下マイクロ)、超短波治療器などに囲まれているために治療者、患者共の健康を管理する上でその環境の安全確認が必要不可欠である。
今回はマイクロおよび家庭電気製品から発生する電磁波の介在する電磁場環境の安全性に関する検討を行ったので報告する。
【方法】
電磁波を発生する機器にはマイクロ(周波数2,450MHz、出力100W)、電子レンジ(以下レンジ)(周波数2,450MHz、出力500W)、携帯電話(以下携帯)(周波数800MHz、出力0.8W)などを用いた。
電磁場環境計測はウエーブテック・ワンデル・ゴルターマン株式会社製の電磁放射線測定装置EMR-200(計測周波数範囲100KHzから3GHz)を用いて、電磁波を発生している各機器から1m離れた位置で2秒間のエポックを30回で、合計60秒間の計測を行い電場、磁場、電力密度を求めた。
マイクロの治療導子は臨床場面を想定して被験者の左肩関節の直上10cmで真下向きとなるように設置した。レンジ内には水150ccを入れた陶器製湯飲みを置き、電磁波の放射を行った。携帯は左耳に当てて送受信した。
なお、比較対照(以下コントロール)としては電磁波を発生しない状況で電磁放射線測定装置を用い測定を行った。
これらの測定は当大学の物理療法実習室で行った。
【結果・考察】
電場(V/m)はコントロール0.19、マイクロ25.81、レンジ1.50、携帯1.23であった。マイクロ、レンジ、携帯がコントロールより有意に多かった。
磁場(A/m)はコントロール0.001、マイクロ0.074、レンジ0.004、携帯0.004であった。マイクロ、レンジ、携帯がコントロールより有意に多かった。
電力密度(mW/cm2)はコントロール0.00001、マイクロ0.18、レンジ0.001、携帯0.00042であった。マイクロがコントロール、レンジ、携帯より有意に多かった。
本研究データではマイクロ、レンジ、携帯との距離が1m離れた場所で、マイクロが電場、磁場、電力密度のすべてに高値であったが、電場で61.4、磁場で0.163、電力密度で1の郵政省電磁波防護安全基準値には達してはおらず人体に対しては安全な電磁波環境であった。
【まとめ】
1.マイクロ、レンジ、携帯などの電磁場環境の安全性に関する検討を行った。
2.電場、磁場はマイクロ、レンジ、携帯がコントロールより有意に多かった。
3.電力密度はマイクロがコントロール、レンジ、携帯より有意に多かった。
4.マイクロ、レンジ、携帯との距離が1m離れた場所は電場、磁場、電力密度が郵政省防護基準値には達しておらず安全な電磁場環境であった。