理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 622
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物理療法
ストレッチング、極超短波施行前後における筋の圧痛の変化
*稲員 拓海内山 清一井舟 正秀石渡 利浩田中 秀明
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抄録
【はじめに】筋、筋膜痛に対して治療を行った際、治療効果の判定に圧痛の変化を尺度のひとつとして用いることは一般的に行われていると思われる。しかし、それは感覚的なものであって、定量的に圧痛の程度を評価している研究は乏しいのが現状であると思われる。そこで本研究においてはストレッチング、極超短波の施行によって圧痛がどのように変化するかをVisual analog scale(以下,VAS)を用いて定量化し比較検討し若干の知見を得たので報告する。
【対象・方法】対象は頚椎、肩関節周囲に既往を持たない健常成人男女28名(年齢31.6±7.1歳)とした。方法は、左僧帽筋上部繊維に対してストレッチング30秒2種類×3回、極超短波(12分)を各1回、日をおいて施行した。実施前後において僧帽筋上部繊維のトリガーポイントに圧覚計を用いて5kgwの力で圧を加え、圧痛をVASで評価した。圧刺激は前後ともに3度行い、その平均をVASの測定値とした。同時に深部温度計、血流計を用いて僧帽筋上部繊維の深部温度、表在血流の変化を測定した。ストレッチング、極超短波前後におけるVAS、血流、深部温度の変化についてはWilcoxon検定を用い検討し、VAS、血流、深部温度の変化量の関係についてはPearsonの相関係数を用いて検討し危険率は1%とした。
【結果】VASはストレッチング後、有意に低下したが極超短波前後では有意な変化を認めなかった。表在血流はストレッチングでは有意な変化を認めなかったが、極超短波後は有意に増加した。深部温度はストレッチング、極超短波ともに施行後有意な温度上昇を認めた。VASの変化量と血流、深部温度の変化量との間にはストレッチング、極超短波ともに相関関係を認めなかった。
【考察】ストレッチングの効果として筋緊張の低下、筋痛の緩和、血液循環の改善等が、極超短波の効果としては血液循環の改善、鎮痛作用等が言われている。今回の結果では圧痛の軽減はストレッチングのみに認められ、血流、温度は相関関係を認めなかった。この原因としては、今回評価した疼痛が、自発痛や収縮時痛と異なり圧痛であったためと考えられる。ストレッチングはIb神経線維を介して筋緊張を低下させることが知られており、圧痛の軽減には直接的に筋緊張を低下させることが有効であると考えられる。極超短波ではAγ神経線維を介してC神経線維の興奮性を低下させるといわれているが、今回のような圧刺激による圧痛は一次痛であり、これを軽減させるに十分な影響を及ぼせなかったと考えられる。実験直後のデータのみではなく、経過をおっていけば今回とは違う結果になった可能性もあり今後さらなる検討が必要である。
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© 2005 日本理学療法士協会
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