理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 821
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理学療法基礎系
超音波診断装置を用いた腰部深部筋の筋厚測定における信頼性  
*長谷川 正吾齋藤 昭彦
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抄録
【目的】ここ数年、腰部深部筋の脊椎安定性への貢献が重要視されている。腰部深部筋の代表である腹横筋は、徒手筋力検査法を用いてその活動を評価することはできない。また、表面筋電図を用いて筋活動を評価することも困難である。近年,超音波診断装置を用いた非侵襲的な機能評価が研究されている。超音波画像上の筋厚の変化は、筋電図との高い相関が得られたという報告もある。そこで本研究では、超音波診断装置を用いて腰部深部筋の筋厚を測定し、その信頼性を検証することにより、基礎的知見を得ることを目的とした。

【方法】対象は健常成人男性9名 (年齢21.8±1.1歳、身長172.3±8.6cm、体重68.4±15.0kg) とし、研究の主旨と方法に関しての説明を十分に行い、承諾を得て実施した。測定は、同日中に30分間隔で2回実施した。1回の測定において15秒の計測を3試行反復した。また、1週間後の同時刻に再度測定を実施した。測定肢位は四つ這い位とした。測定部位は、臍レベル周径と腋窩線との交点から臍レベル周径に沿って前内方2.5cmの位置とし、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の3層構造を超音波診断装置(東芝社製PV6000 プローブ8MHz)にてイメージングした。超音波画像は、パーソナルコンピューターに取り込み、筋厚が最も減少する安静吸気終末の静止画像を抽出した。静止画像から画像解析ソフトImage Jを用いて皮下脂肪層(TS)、外腹斜筋(EO)、内腹斜筋(IO)、腹横筋(TrA)の4項目を1mm単位で計測した。反復3試行分におけるデータの平均値を代表値として、級内相関係数ICC(1,1)を算出し、検者内信頼性を検証した。データ管理は第三者が行い,全ての測定、解析を同一検者が行った。

【結果】同日中測定における級内相関係数は、TS (ICC=0.99)、EO (ICC=0.93)、IO (ICC=0.86)、TrA (ICC=0.84)であり、強い相関を示した。初期測定時と1週間後の測定時における相関係数は、TS (ICC=0.97)、EO (ICC=0.90)、IO (ICC=0.52)、TrA (ICC=0.31)であり、TS、EOにおいては強い相関を示したが、IO、TrAにはほとんど相関を認めなかった。

【考察】同日中の測定結果では、各項目で高い信頼性が示されたが、1週間後の測定時におけるIOやTrAの測定結果では信頼性が示されなかった。この要因として、画像解析処理の問題、プローブ位置の誤差などが考えられる。しかし、同一ランドマークを使用した同日中の測定においては高い信頼性が示されたことから、腰部深部筋の測定における超音波診断装置の使用は、有効な手段であることが示唆された。

【まとめ】超音波診断装置による腰部深部筋の測定は、信頼性の高い方法と成り得るが、更なる検討が必要である。
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© 2006 日本理学療法士協会
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