理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 822
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理学療法基礎系
腹横筋の定性的機能評価と側腹筋厚の検討
*樋口 善英齋藤 昭彦
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抄録
【目的】腹横筋は、身体深部に位置し視診より収縮を観察することはできない。また、腹横筋は骨運動に関与しないため、徒手筋力検査法を用いて評価することはできない。ワイヤー電極を用いた筋電図により腹横筋の収縮を記録する侵襲的評価が行われているが、より簡便かつ非侵襲的な評価は確立されていない。本研究の目的は、安静時と選択的収縮時の側腹筋厚について比較検討し基礎的知見を得ることとした。
【方法】健常成人60名 [男性:43名、女性:17名、平均年齢:21.4歳(18-31歳)、平均身長:168.6±8.3cm、平均体重:62.9±9.7kg]を対象とし、研究の主旨と方法に関して説明を十分に行ったあと承諾を得て実施した。超音波診断装置(東芝メディカル社製PowerVision6000)、ポリグラフ(日本光電社製RM-6000)、クリップタイプサーミスタセンサー、圧バイオフィードバック装置(Chattanooga group.inc.USA)で得られた映像と波形を映像波形合成装置で合成して、モニターに表示し、動画として記録した。また、腹横筋の選択的収縮を得たと評価する基準を、1)超音波画像上で、外腹斜筋厚の増加を伴わずに腹横筋厚の増加を認める、2)筋電図モニターより胸郭および骨盤領域における代償運動は認めない、3)呼吸モニターより腹横筋の選択的収縮時において呼吸の持続的な維持が可能である、4)腹圧モニターより腹圧の減少を認める、ものとし、上記の基準をすべて満たす被験者を腹横筋の選択的収縮が得られる群、一つでも満たない被験者を腹横筋の選択的収縮が得られいない群に分類した。画像解析は、動画による腹横筋の定性的機能評価を実施後、PCに取り込み、コマ送り再生を繰り返して確認して静止画像を得た。得られた静止画像は、Image J ver.1.34(U.S.National Institutes of Health が開発。インターネットhttp://rsb.info.nih.gov/ij/から入手できる)により、各筋膜の境界線の内外側面を基準に、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の筋厚を1mm単位で測定した。各群の安静時と腹横筋の選択的収縮時の側腹筋厚を変化率として捉え比較検討した。
【結果】安静時と選択的収縮時における腹横筋厚の変化率は、腹横筋の選択的収縮が得られた群で187±45%(n=5)、腹横筋の選択的収縮が得られない群で141±44%(n=55)であった。一方、外腹斜筋厚は、それぞれ104±7%(n=5)、106±15(n=55)であった。
【まとめ】腹横筋の選択的収縮がみられた群の腹横筋厚は著明に変化したが、外腹斜筋には変化がみられず、腹横筋の選択的収縮が明らかとなった。
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© 2006 日本理学療法士協会
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