理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 838
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理学療法基礎系
床反力計を用いた歩行解析における計測回数の検討
*西村 繁典中島 義博梅津 祐一前田 貴司広田 桂介志波 直人田川 善彦
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抄録

【目的】
床反力計を使用した歩行解析の場合、歩行速度を一定にするなど歩行条件を設定して計測を行う。しかし、条件歩行では自由歩行とは異なり、得られる結果にも相違が生じるのではないかと考えられる。また、自由歩行での計測では、計測回数を数回行いその平均値を結果として用いるが、計測回数には報告者により違いが見られる。今回は条件歩行と自由歩行の計測回数について変動係数を用いて比較検討したので報告する。
【対象と方法】
対象は健常人7名(男性6名、女性1名、21歳から39歳、平均29歳)。
方法は2枚の床反力計(AMTI社製)上を左右一歩ずつ踏む自由歩行(以下、FG)と歩調100steps/minの条件歩行(以下、SG)を各々20回計測した。そのとき得られた左右の床反力鉛直分力の2つのピーク値(P1とP3)とそのギャップ値(P2)を求め、それらの値を1回目から3回目、5回目、10回目、15回目、20回目までの平均値と標準偏差を求めた。得られた平均値と標準偏差より変動値を算出し、計測回数についての検討および2つの歩行での違いを比較した。
【結果】
得られた床反力鉛直分力は、FG及びSGともに20回分の波形には類似が見られたが、ピーク値にはバラツキが見られた。また、FG及びSG各回数の変動値を最小値と最大値で比較すると、FG:3回目1.7-6.8、5回目1.5-5.4、10回目1.4-5.9、15回目1.6-6.1、20回目1.6-5.5、SG:3回目0.6-8.4、5回目1.6-7.4、10回目2.0-6.4、15回目2.0-6.5、20回目1.9-6.3であった。これらより、FGは各回数で同程度のバラツキが見られ、SGは3回のみバラツキが大きく他の回数ではFGと同程度のバラツキが見られた。
【考察とまとめ】
床反力計を用いた歩行解析において、平均値を用いて解析を行う場合、その計測回数は2回から数回程度と統一した見解が無い。そのため、今回FGおよびSGにおける計測回数について変動係数を用いて検討すると、FGとSGに関する床反力鉛直分力に大きな違いは見られず、波形は類似していたがピーク値にはバラツキが見られた。各回数における変動値の最小値と最大値のバラツキをみると、FGは各回数で同程度のバラツキが見られ、SGは3回のみバラツキが大きく他の回ではFGと同程度のバラツキが見られた。今回の結果より、平均値を用いた歩行解析では、5回以上の計測が妥当な計測回数ではないかと考えられる。しかし、今回の結果は健常者でのものであり、患者さんを計測する場合、疲労などを考慮しなければならないと思われるため、この点について更なる検討が必要であると考えられる。

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© 2006 日本理学療法士協会
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