理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 309
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骨・関節系理学療法
群馬県におけるサッカー競技に対する理学療法士の取り組み
*武井 健児坂本 雅昭中澤 理恵山路 雄彦猪股 伸晃中川 和昌竹沢 豊草間 洋一
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抄録
【目的】
 我々は,前橋市中学校体育連盟サッカー競技3大会(以下中学サッカー)及び群馬県高等学校体育連盟サッカー競技4大会(以下高校サッカー)において応急処置及び傷害予防を目的としてメディカルサポートの実施,また国体群馬県少年選抜チーム(以下国体)への帯同を行った.本研究の目的は,1年間(H16.10~17.9)の中学・高校サッカーに対するメディカルサポート及び第60回国民体育大会(おかやま国体)への帯同の内容を整理し,今後の課題を明らかにすることである.
【対象及び方法】
 メディカルサポートの対象は,中学サッカー(H17年度春季大会16校15試合,夏季大会21校21試合,新人大会21校21試合),高校サッカー(H16年度選手権予選57校72試合,新人大会18校62試合,H17年度県高校総体53校52試合,インターハイ予選40校39試合)とした.実施にあたり,県内理学療法士にボランティアを募り,各会場2名以上常駐するように配置した.メディカルサポートの内容は,試合前の傷害予防目的のテーピング等のケア,試合中(原則として交代後)及び試合後の外傷に対する応急処置,ケアの指導であった.また,国体(選手16名,大会期間5日間5試合)帯同の主な内容は,メディカルサポートの内容に加え,宿舎でのコンディショニングであった.
【結果及び考察】
 中学サッカーの参加理学療法士は38名,対応選手数は70名,対応件数は141件であった(延べ数).対応内容の内訳は,テーピング72件,アイシング32件,ストレッチング10件,止血処置7件であった.テーピングの部位別内訳は,上肢9件,体幹7件,下肢56件(膝関節27件,37.5%)であった.中学では膝関節へのテーピングが最も多く,これは成長期サッカー選手の特徴として膝関節障害の発生率が高いことが考えられ,年代における特徴を反映する結果となった.
 高校サッカーの参加理学療法士は202名,対応選手数は488名,対応件数は842件であった(延べ数).対応内容の内訳は,テーピング465件,アイシング189件,ストレッチング80件,止血処置15件であった.テーピングの部位別内訳は,上肢52件,体幹33件,下肢380件(足関節189件,40.6%)であった.高校では足関節へのテーピングが最も多く,これはサッカー選手の傷害に関する過去の報告と同様の結果となり,サッカーの競技特性を示す結果となった.
 国体の帯同期間は8日間(H17.9.7~14),帯同理学療法士は2名,対応選手数は延べ102名,対応件数は延べ138件(試合前後61件,試合中2件,宿舎75件)であった.宿舎でのコンディショニングが多い結果となり,チーム帯同における理学療法士の役割の特徴が示唆された.
 これらから,今後,テーピングを含めた応急処置,コンディショニングに関する技術の向上を図る必要性が示唆された.
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© 2006 日本理学療法士協会
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