抄録
【はじめに】近年呼吸ケアや呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)への関心が高まりつつある中、理学療法士のみならず、看護師にも積極的に呼吸ケアを実施しようという機運は高まってきている。そこで新潟県内の呼吸器研究会である新潟在宅呼吸療法研究会が主体となって、呼吸器疾患に対する治療・看護・リハビリテーションにわたる呼吸ケアの普及啓発を推進することを目標に、平成16年度に研究会の下部組織として「新潟呼吸ケア部会(以下RC部会)」を設立し、平成17年11月には地域ブロック別の呼吸ケア研修会も開催することができた。今回はその研修会でのアンケート結果とRC部会の今後の活動方針について報告する。
【これまでの経緯】RC部会の設立する以前の2001年から、新潟大学呼吸器科医の協力を得て、県内各地の病院施設の要望で呼吸リハ研修会等を開催してきた(平成17年11月現在までに27施設)。このような各地における呼吸ケアへの関心の高まりを受け、平成16年6月25日新潟在宅呼吸療法研究会幹事会においてRC部会の設立承認、同11月20日第一回目の研修会を予定(上越市)、しかし新潟中越地震の影響により延期。平成17年11月6日第一回新潟呼吸ケア研修会(上越市)を開催した。
【研修会の結果及びアンケート】研修会では146名という多くの参加者を得ることができた。参加者の内訳は医師6名、看護師89名、リハ療法士44名、臨床工学技士3名、その他4名。当日会場で実施したアンケートの回答を見ると、1.参加者の職種経験年数は、9.28±8.12年。2.全参加者のうち呼吸療法認定士資格を持っているものは12名(8.2%)。3.研修会の感想では、125名(94.7%)が良かったと答え、まあまあは7名(5.3%)、悪いと答えた者は0名であった。4.研修に際してもう少し内容を望むものとしては、呼吸リハが最も多く57名(43.2%)、ついで嚥下リハ49名(37.1%)、ついで人工呼吸療法やNPPVなど。5.今後自らが学んでみたいものとしては、嚥下リハが最も多く65名(49.2%)、ついで呼吸リハが52名(39.4%)、呼吸療法認定士40名(30.3%)と呼吸療法認定士についても高い関心が示された。6.今後RC部会への活動参加の有無を記名も含めて聞いたところ、88名(66.7%)もが活動参加を希望していた。
【まとめ】今回の研修会開催では概ね会に対しては賛同を得ることができ、また地域一般のコメディカルスタッフにおいても呼吸ケアに関する活動への強い参加意欲があることも判った。県内の呼吸リハ実施施設の数から考えると、興味はあるが知識・技術不足などから二の足を踏んでいる所も多いという状況が伺える。今後はRC部会による研修会参加者のネットワーク作りを基礎として、大学や基幹病院を中心とした県内呼吸リハネットワーク作りに向け活動を進めていく方針である。