理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 585
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理学療法基礎系
筋線維伝導速度と電気刺激頻度の関係について
*太田 佳織間瀬 教史
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抄録
【目的】筋線維伝導速度(以下MFCV)は、筋線維直径や筋線維のタイプと相関関係にあるといわれており、筋の廃用状態を非侵襲的に評価することが可能であると報告されている。今回我々は、誘発電位を用いたMFCV測定時の電気刺激頻度の影響について、検討したので報告する。
【方法】対象は、健常成人男性8例、年齢28±5.76歳である。測定肢位は、肩関節90°外旋位、肘関節伸展位、前腕90°回外位の背臥位で、測定筋は上腕二頭筋とした。電気刺激部位は上腕二頭筋末梢部とした。筋線維走行に沿って、上腕二頭筋末端部の電気刺激部位から3cm中枢側の上腕二頭筋の筋腹に微小表面電極を置き、それぞれ隣り合う電極から双極性に7つの筋電図波形を導出した。測定には、プラスチック板に1mm×10mmの銅電極を5mm間隔で8個配列した微小表面電極列を用いた。筋電図は、Nicolet社製VikingIVを用いて導出した。電気刺激は、持続時間0.2msの矩形波を用い、刺激強度は、電気刺激部位に最も近い電極から導出した波形を第1波形とした時、第1波形から第7波形にかけて、一定の潜時差をもった陰性ピークを持つ波形が得られる強度とした。1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hzの各刺激強度で30回の刺激を行い、各刺激頻度におけるMFCVの変化を観察した。MFCVは、電極間距離(30mm)を第1波形と第7波形の陰性ピークの遅延時間で除して算出した。
【結果】刺激回数とMFCVの関係をみると、MFCVは、すべての刺激頻度において、刺激開始からある程度の刺激回数まで徐々に速くなり、それ以後はほぼ一定の値を示した。1Hz、5Hzは、刺激開始から5回前後の刺激回数からほぼ一定の値を示し、10Hzでは15回前後、20Hzから50Hzでは18回前後で一定の値を示した。各刺激頻度別に最速のMFCVを比較すると、1Hz3.55±0.33m/sec、5Hz3.61±0.36m/sec、10Hz3.95±0.31m/sec、20Hz4.12±0.39m/sec30Hz4.31±0.42m/sec、40Hz4.08±0.28m/sec、50Hz4.18±0.38m/secで、1Hzから30Hzまでは、刺激頻度の増加に伴いMFCVが有意(p<0.01)に速くなった。しかし、40Hz、50Hzでは、30Hzに比べ有意(p<0.05)に遅いMFCVを示した。
【考察】経皮的に電気刺激しMFCVを測定した場合、1Hzから30Hzの刺激頻度の間では、MFCVは頻度の増加とともに速くなることがわかった。また、各刺激頻度によりMFCVが最速値に到達する刺激回数が異なってくることから、測定においては、MFCVが安定したところでの計測が重要であると考られた。
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© 2007 日本理学療法士協会
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