理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 646
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理学療法基礎系
マシントレーニングの効果について
山王リハビリステーション(通所介護施設)での取り組みから
*谷渡 秀一関口 典子森 英二速水 聰藍原 義勝
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抄録
【目的】高齢者でも3ヶ月の短期間でマシントレーニングを行うことで身体機能の向上が出来ること。またそれにより日常生活の向上維持が行なえる事を確認することを目的に検討を行いました。なお今回の検討に際し、事前に対象者に説明を行い同意を得ました。
【方法】2004年7月から2005年4月に山王リハビリステーション(以下施設)利用中の方、新規で利用を開始した方16名(男性12名・女性4名)を対象に、borug スケール「楽にできる」を指標としマシントレーニングを実施しました。施設利用と同時に開始した方(以下早期開始群)と従来から施設を利用されていた方で既に動作訓練・体操などは、行なっており途中から開始された方(以下中途開始群)でそれぞれトレーニング前・1ヵ月後・3ヵ月後の下肢筋力・上肢筋力(握力)・バランス・自発性 ・日常生活上の移動能力・応用歩行能力の評価項目を設定し、検討しました。
【結果】1・早期開始群で下肢筋群が1ヶ月経過で自由度6、危険率5%で有意な向上。2・中途開始群で下肢筋群が1ヶ月経過で自由度8、危険率1%で有意な向上。腹筋が1ヶ月・3ヶ月経過で自由度8、危険率5%で有意な向上。背筋が1ヶ月経過で自由度8、危険率1%。3ヶ月経過で自由度8、危険率5%の優位な向上。3・個別の単独筋大腿四頭筋・ハムストリングス・外転筋・内転筋では、有意な向上。4・その他の評価項目については、中途開始群でtime up&goが3ヶ月経過で自由度8、危険率5%で有意な向上。time up&goの歩数1ヶ月経過で自由度8、危険率5%で有意な向上が認められました。
【考察】1・2により早期開始群・中途開始群ともに有意な筋力の向上が認められました。中途開始群では、腹筋・背筋でも優位な向上が認められました。中途開始群では、動作時に重心を安定させるための躯幹筋が動作訓練・体操などである程度筋活動が活性化されており、筋力が強化されやすい状況にあったことが考えられます。下肢筋群は、両群で有意な効果が確認できました。両群で日常生活で立ち上がり動作が習慣化されており下肢筋群も、ある程度筋活動が活性化され筋力が強化されやすい状況にあったと考えられます。4・中途開始群で歩行能力を有意に向上することが確認できました。このことも、マシントレーニングだけを重視するよりも、動作訓練・体操などである程度筋活動が活性化された状態でマシントレーニングを計画的に行う事が、歩行能力の改善にも有効であることを示唆しているものと考えられます。
【まとめ】これらのことは、マシントレーニングだけを重視するだけでなく、動作訓練・体操・日常生活での立ち上がり動作などである程度筋活動が活性化され、マシントレーニングで筋力が強化されやすい身体状況を整えておくことも重要であることを示唆しているものと考えられました。
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© 2007 日本理学療法士協会
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