理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 689
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理学療法基礎系
ハンドヘルドダイナモメーターを用いた筋力測定の信頼性に関する検討
*田中 基隆杉原 敏道三島 誠一長沼 誠武田 貴好舩山 貴子大原 留美子高橋 絵美
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抄録

【目的】
理学療法士は評価の結果をもとに、理学療法介入による効果判定を行っていることから、その評価はある程度の信頼性が保証されなければならない。本研究では高齢者を対象にハンドヘルドダイナモメーター(HHD)を用いた筋力測定の信頼性について検討した。
【対象と方法】
対象は認知症を有さない同意を得た健常高齢者15名(79.9±5.9歳)とした。被検筋は利き足側の膝伸筋群とした。測定肢位は新・従手筋力検査法に準じた坐位とし、測定開始肢位は膝関節屈曲90°とした。代償による影響がないよう大腿部はベルトで固定した。HHDのセンサーは下腿の下端に当て、検査者の合図に従い被検者には膝を最大伸展するよう指示した。測定は10秒間の最大努力による等尺性運動で行った。30秒以上の間隔をあけ、上述した方法による測定を複数回実施した。最初に複数回の測定で得られた測定値から、1回の測定における信頼性係数(ICC(1.1))を求めた。目標とする信頼性係数はLandisらの基準を参考に0.81、95%信頼区間下限値を75%以上と設定した。1回の測定でこの条件に満たない場合には複数回の測定の平均から上述した条件を満たす測定回数を検討することとした。これらにより得られた測定回数をもとに再度測定を行い、ICC推定値と95%信頼区間下限値を求めて最終的確認を行った。
【結果】
1回測定のICC(1.1)推定値は0.88だったが95%信頼区間下限値は0.69であった。そのため、ICC(1.1)推定値は一定の基準を満たしたが95%信頼区間下限値は基準以上の値が得られなかったことから1回の計測における信頼性は十分でないと判断した。2回測定の平均値を用いた場合では、ICC(1.1)推定値が0.93、95%信頼区間下限値は0.82であったため、一時的に信頼性を得るための測定回数とし、再度測定を行った。その際のICC(1.1)推定値は0.94、95%信頼区間下限値は0.84であった。そのため、2回測定の平均値を用いたものが信頼性を得るために必要な測定回数であると最終的に判断した。
【考察】
今回の結果から2回の平均値を用いることがHHDを用いた膝伸筋群の測定において信頼性の高いデータを得るために必要な測定回数であると考えた。本研究は膝伸展筋力における測定回数の検討であったが、他筋に関しても検討する必要があると考えた。

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© 2007 日本理学療法士協会
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