理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 692
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理学療法基礎系
パフォーマンスと等速性筋力・等尺性筋力・ペダリング力との関連性
*西村 純市橋 則明南角 学森 公彦宮坂 淳介中村 孝志
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キーワード: 敏捷性, ジャンプ, 筋力
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抄録

【はじめに】スポーツ選手において、下肢筋力は競技上重要であり、臨床では外傷後の競技復帰の基準に用いられることが多い。しかし、下肢筋力とパフォーマンスの関連性は一致した見解が得られていない。本研究の目的は、パフォーマンスと下肢筋力の関連性を明らかにすることである。
【対象と方法】対象は大学ラグビー選手45名(平均年齢:20.8±1.4歳、身長:173.1±5.1cm、体重:74.4±8.5kg)とし、パフォーマンステストおよび下肢筋力測定を行った。パフォーマンステストは片脚でのSide Hop、6m Hop、垂直跳び、幅跳び、3段跳びとした。Side Hopは30cm幅を片脚にて、側方に10回跳び越える時間とした。6m Hopは片脚跳びにて前方へ6mを進む時間とした。3段跳びは助走せずに片脚にて3回連続で前方に跳んだ距離とした。下肢筋力測定は等速性筋力、等尺性筋力、ペダリング力とした。等速性膝屈伸筋力はMYORET(川崎重工業株式会社製、RZ-450)を用い、低速(60deg/sec)・高速(300deg/sec)で測定した。等尺性筋力はアイソフォース(OG技研社製)を用いて等尺性膝屈伸筋力および等尺性脚筋力を測定した。ペダリング力はストレングスエルゴ(三菱電機株式会社製)を用い、低速(40r/m)・高速(100r/m)で測定した。各下肢筋力の結果を体重で除し、体重比を求めた。パフォーマンスと下肢筋力の関係を調べるために、ピアソンの相関係数を求め、危険率5%を統計学的有意とした。
【結果と考察】Side Hopは高速での膝伸展筋力(r=-0.35)のみと、6m Hopは高速での膝伸展筋力(r=-0.33)と屈曲筋力(r=-0.38)のみと有意な相関を認めたが、その他の筋力とは有意な相関は認められなかった。垂直跳びは高速での膝伸展筋力(r=0.61)・屈曲筋力(r=0.46)だけでなく、低速での膝伸展筋力(r=0.33)や等尺性膝伸展筋力(r=0.33)と有意な相関を認めた。幅跳びは低速での膝屈曲筋力(r=0.34)、高速での膝伸展筋力(r=0.53)・屈曲筋力(r=0.52)と有意な相関を認めた。3段跳びは低速での膝屈曲筋力(r=0.32)、高速での膝伸展筋力(r=0.51)・屈曲筋力(r=0.57)だけでなく、ストレングスエルゴでの低速(r=0.45)・高速(r=0.45)のペダリング力と有意な相関を認めたが、低速での膝伸展筋力、等尺性筋力には有意な相関は認められなかった。本研究の結果から、300deg/secという高速での膝伸展筋力は全てのパフォーマンスに関与していることが明らかとなった。また、Side Hopや6mHopなどの速度を測定するパフォーマンステストは筋力の影響を受けにくく、その他の距離を測定するパフォーマンステストは筋力の影響を受けやすいことが示唆された。

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© 2007 日本理学療法士協会
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