理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1242
会議情報

理学療法基礎系
デジダルビデオカメラを用いた歩行分析の検討
*高橋 久美子森島 健青柳 秀城
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】三次元動作解析装置(以下3D)を用いた歩行分析は、妥当性や信頼性が高く、研究の分野において多く使用されている。しかし、高額で使用可能な環境を確保しにくいことや、処理に時間がかかる等の問題があり、臨床の場では使用困難なことが多い。本研究では、デジタルビデオカメラやDVDから得た映像をパソコンを用いて簡便に解析することができるDARTFISH Software(以下、DART)の信頼性を検討するために、三次元動作解析装置と比較検討することを目的とした。

【方法】対象者は健常成人男性8名(平均年齢34.6±7.9歳)とした。測定は3D(MotionAnalysis社製EVaRT4.6)を用い、自由歩行を3回行った。身体標点として被験者の右側に、大腿下1/3(大転子と膝関節外側裂隙を結ぶ線上:以下A)、膝関節外側裂隙(以下B)、足関節外果(以下C)、第5中足骨頭(以下D)に反射マーカーを貼付した。∠ABCを膝関節角度、∠BCDを足関節角度とし、KineAnalyzer(キッセイコムテック社製)にて解析を行った。また、同時にデジタルビデオカメラ(Canon社製IXY M5)を、レンズの高さ86cm、被写体までの距離4.6mに設定し、録画した。その映像データはDARTを用いて、3Dと同様に膝関節角度、足関節角度を解析した。サンプリング周波数は共に60Hzにて記録した。測定値として1歩行周期における膝関節角度の最大値と最小値、ならびに足関節角度の最大値と最小値を採用した。統計処理は級内相関係数(ICC2,1)を用いた。

【結果及び考察】膝関節において、最大値の平均値は3D で60.2±6.4°、DARTで59.1±6.9°となり、両者間のICCは0.946であった。最小値の平均値は3Dで9.5±4.6°、DARTで8.8±5.2°となり、両者間のICCは0.942であった。また、足関節において、最大値の平均値は3Dで 126.6±6.1°、DARTで126.4±6.0°となり、両者間のICCは0.958であった。最小値の平均値は3Dで94.4±3.3°、DARTで95.3±3.6°となり、両者間のICC は0.618であった。ICCの結果から、歩行における関節角度解析に関しては、3Dと同様にDARTも信頼性が高いことが確認された。本実験では、反射マーカーを使用し、またカメラの位置やカメラのホワイトバランス等もできるだけ詳細に設定した。これらの設定を行うと、ある程度の信頼性が高くなることが示唆された。しかし、足関節角度に関しては、やや信頼性に問題のある結果となった。DARTはマーカーの追跡、すなわちトラッキングを正確に行わないと、測定誤差が生じる可能性が高くなる。足関節におけるトラッキングの精度を高めていくことが今後の課題である。

著者関連情報
© 2007 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top