理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 773
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神経系理学療法
当センター肢体不自由児施設外来利用されている成人障害者実態アンケート調査報告
*宮原 なおみ宮前 信彦
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キーワード: 成人障害者, 脳性麻痺, 実態
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抄録
【はじめに】千葉県千葉リハビリテーションセンター(以下センター)は1981年開設以来、四半世紀を経過する。この間、乳幼児期から療育サービス(医学的リハビリテーション)を経験され、養護学校等(教育的リハビリテーション)過程を経て 成人年齢に達した障害者の方々(以下成人障害児と略す)が、現在の生活状況については、その実態は不明である。今回センターを利用され現在成人年齢(超18歳)に達した方々の生活実態調査を行い、脳性麻痺を伴う成人障害児の方々の現状を把握し生活課題や医学的ニーズを分析し必要な支援体制、支援プログラム開拓の手がかりとしたいと考えた。
【目的】成人脳性麻痺児の生活実態を知る。
【対象】1981年から1988までにセンターを受診し、脳性麻痺(脳原性運動機能障害)に起因する疾患として、診断 加療され、現在18歳以上の年齢に達している方120名中、アンケートに回答した者99名であった。
【方法】アンケート調査。調査内容 現在の生活状況 理学療法科とその他リハビリテーション療法部(以下リハ療法部)重複している割合 地域通園の利用状況 当センター肢体不自由児施設(以下愛育園とする) 母子入園の利用状況 就学状況 大島の分類による姿勢と移動の状況について 面接を中心に 一部電話での聞き取り調査を行った。 初診時年齢が2歳未満の群(以下2歳未満)2歳以上の群(以下2歳以上)の2群に分け検討した。
【結果および考察】2歳未満群は 36名男女比20対16 年齢分布は18歳から25歳平均年齢21歳。2歳以上群は63名男女比37対26 年齢分布は18歳から47歳平均年齢は26歳。今回の調査より現状の生活状況に関して2歳未満児群と2歳以上群では大きな差はなく6割が福祉的生活の場の利用者 2割弱が一般就労 1割が福祉的就労利用者であった。在宅の方は1割弱 施設入所3%から6%であった。2歳未満群は2歳時80%以上が寝たきり、症状が重度で発見されやすくセンターへの紹介が早期であったと考えられた。母子入園 愛育園単独入園の利用割合がともに80%以上、理学療法科とリハ療法部各科の重複の割合が高かった。就学先に関して2歳未満群は途中で通学先を変更する方が存在しなかった。早期から充実した療育をうけ保護者は対象者に適した通学先を選択できたのではないかと思われた。姿勢と移動の状況においてはどちらの群も2歳から6歳まで間に機能向上が見られた。早期における医療的リハビリテーションの重要性が感じられた。粗大運動レベルの低下の割合が多い時期に関しては2つの群において違いが認められた。2歳未満群では12歳から18歳の時期 2歳以上群では18歳から現在の時期であった。これらの時期における 医療的介入の必要性が高いことが感じられた。18歳以上の方で医療機関に現在は係わりを持たない脳性麻痺の障害者の中に再度医療を必要とする方の存在が推測され今後全県的な成人障害児の実態調査の必要性を感じた。
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© 2007 日本理学療法士協会
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