抄録
【はじめに】
全国高校野球選手権地区大会でのメディカルサポート(以下:サポート)が普及してきている。三重県スポーツリハビリテーション研究会(以下:MSR)は三重県高校野球連盟からの依頼により、平成16年~平成18年の3年間、全国高校野球選手権三重県大会(以下:夏季大会)、並びに春季・秋季東海地区高等学校野球三重県大会(以下:春季大会・秋季大会)においてサポートを実施した。そこで、サポートスタッフ数の現状と野球指導者のアンケート調査を踏まえ、今後のサポート体制について検討した。
【サポート活動内容】
当県におけるMSR会員へ事前に参加を募りサポートを実施した。サポート期間は春季・秋季大会は2日間(準決勝~)4試合、夏季大会は4日間(準々決勝~)7試合で年間15試合・16校、累計45試合・48校であった。サポート内容は試合前・試合中・試合後のコンディショニング、クールダウンなどであった。
【サポート内容実績】
サポートスタッフ数は平成16年春季大会16名、夏季大会21名、秋季大会10名、平成17年春季大会10名、夏季大会13名、秋季大会8名、平成18年春季大会20名、夏季大会18名、秋季大会10名であった。累計126名、重複を除いた参加数は28名(1~5回22名、10回以上6名)。各大会の1日のスタッフ数は3~10名であった。三重県高等学校野球連盟の加盟校は全70校、サポート期間内のサポート対象校は重複を除き22校、そのうちサポート利用は18校(81.8%)であった。
【アンケート調査】
平成18年3月三重県高校野球連盟の評議委員会に参加している指導者に対し、MSRの活動について質問方式にてアンケート調査を実施した。
【アンケート結果】
指導者51名からの回答が得られ、38名(74.5%)がMSRの存在について認知されていた。サポート試合数の増加・傷害予防やコンディショニング指導等について要望があがった。
【課題と展望】
3年間のサポートを通しいくつかの問題点が挙げられた。1)マンパワー不足、サポートスタッフが固定されてきている。2)サポートを受ける選手は競技参加者であり、疲労が蓄積されていくため1日でも早くケアを行う必要性がある。3)指導者からサポート試合数増加の要望をされたが、対応できない現状がある。4)指導者から継続的なケア、傷害予防やコンディショニング指導等の要望もある。今後は1)三重県理学療法士会の新人オリエンテーションでMSRについて説明し新規参加者を募り、マンパワーの充足をはかる。2、3)サポート日程をできる限り早くアナウンスし、職場との調節を図り各日のサポートスタッフ数を平均的に集め、サポート試合数増加に努める。4)現場に留まらずサポート後のフォローとして病院と連携を取ることや、傷害予防などの講習会を進める。その他、年2回程度の勉強会の開催といった年間計画を立て、専門知識・技術の向上や興味のあるPTが参加できる体制を確立し、より充実したサポートを展開していきたい。