理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 223
会議情報

骨・関節系理学療法
新潟県高校野球におけるメディカルサポート活動
*岩倉 正樹田中 正栄飯田 晋渡辺 博史角張 勲蕪木 武史濱辺 政晴相田 将宏斎藤 賢一丸山 潤松岡 潤古賀 良生山本 智章瀬川 博之
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抄録
【はじめに】
高校野球甲子園大会での理学療法士(以下PT)によるメディカルサポートは平成7年から行われており、近年その活動は全国の地方大会へと拡大している。新潟県においても県高校野球連盟の要請で「大会期間中のメディカルサポートを通して高校野球選手のスポーツ傷害予防、コンディショニングの啓発を図る」ことを目的に、平成13年夏の県大会から医師とPTがメディカルサポートを開始し6年が経過した。今回,新潟県での高校野球メディカルサポートの内容と結果を報告し、今後の課題を考察する。
【対象と内容】
平成13年から平成16年までは夏の県大会,準決勝,決勝の3試合、その後平成17年から準々決勝,準決勝,決勝の7試合に出場した選手を対象に実施した。医師1名と4名から6名のPTは球場内に待機し、チームからの依頼や傷害発生時等の必要と判断した場合にサポ-トを行った。その内容は試合前、中、後のテーピング,ストレッチング,アイシング、急性外傷への応急処置、熱中症予防の喚起と医師による診察、処置であった。
【結果】
6年間 の総サポート件数は26試合で198件(平成13年15件、14年54件、15年26件、16年14件、17年31件、18年58件)であった。その内訳はアイシング60件、テーピング49件、ストレッチング17件の順に多く、1試合の平均は約8件であった。部位別のサポートでは上肢が約71%、下肢が約23%であった。また、観客の熱中症への対応が10件あった。
【考察と今後の課題】
サポート件数が1試合平均で約8件あり、県大会でのメディカルサポート活動は参加校に広く周知されてきたものと考えられる。各年によって件数に差があるのは、チームによりコンディショニングに対する取り組み方に格差があったこと及び、専属トレーナーの有無も影響しているものと考える。選手の傷害予防とコンディショニングの啓発、普及には対象試合を拡大していくことが求められるが、甲子園で始まったこの活動を地方でより展開するためには主催者、チームおよび医療支援者が更に協議し、しっかりとした医療体制を構築することが必要と考える。部位別では上肢に対するサポート件数が最も多く、競技特性に沿ったスポーツ傷害に対する研鑽の継続がPTに求められる。観客の熱中症は暑熱環境に順化できていないためであると考えられるが、発生時の緊急連絡網と搬送体制の確立が必要である。大会を支援するメディカルサポートでは選手、審判、観客など大会に関わる全て人たちの健康管理や球場全体の安全性を配慮した支援が望まれる。
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© 2007 日本理学療法士協会
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