理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 872
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骨・関節系理学療法
OKCとCKCでの膝関節の副運動の変化について
膝関節伸展運動に付随して起こる回旋運動に着目して
*大橋 俊介野澤 涼石井 慎一郎
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キーワード: 膝関節, 副運動, OKC・CKC
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抄録

【目的】筋力強化練習の方法を大別すると開放運動連鎖(open kinetic chain:以下OKC)と、閉鎖運動連鎖(closed kinetic chain:以下CKC)に二分される。OKCでは、四肢の最遠位に位置する体節の動きは自由である。これに対してCKCでは、最遠位部の体節に自由な動きを制限する外力負荷がかけられた状態と定義されている。CKCのように体節の自由な動きが束縛された条件下で、関節運動を行った場合に、骨運動に伴って生じる副運動にどのような影響があるのかを検討した報告は少なく、CKC、OKCの何れを処方するかの判断基準に苦慮する場合がある。そこで本研究では、膝関節に着目し、OKCと、CKCでの膝関節の屈伸動作時の副運動の変化について調べた。

【方法】対象は、本研究に同意の得られた健常成人20名(20代~30代)とした。計測課題としては、膝関節の屈伸運動をOKCとCKCにて行った。OKCでは、膝と股関節が90度屈曲位になるような端座位を開始肢位として、膝を自動的に0度まで伸展させたのち90度まで屈曲させる運動を行った。またCKCでは、同様の可動範囲でスクワット運動を行った。計測には、三次元動作解析装置VICON612(VICON PEAK社製)を使用した。膝関節の副運動の計測にはスタンフォード大学が開発したPointCluster法(以下PC法)を用いた。PC法の手順に従って、大腿と下腿部の所定の位置に合計22個の赤外線反射マーカを貼付した。動作解析データから、膝関節の屈伸角度、回旋角度を求めた。統計処理には、対応のあるT検定を用いた。

【結果】回旋角度の変化:9.75±4.10度

【考察】今回、膝関節の副運動として、伸展運動に付随して起こる回旋運動に着目し、OKCとCKCで比較検討した。結果は、OKCに比べCKCの方が脛骨外旋角度が有意に少なかった。この理由として、股関節の内旋による制動の影響により、動作が途中で完了してしまう事が考えられた。これは、膝関節伸展時に、大腿骨は固定された脛骨に対して、相対的に内旋するためである。OKCでは運動軸の数が1つであるのに対し、CKCでは複数の運動軸により運動が起こる。つまり、体節の動きとして、OKCでは固定された大腿骨に対して脛骨が動き、CKCでは大腿骨と脛骨が両方とも同時に動く。このため、大腿骨の相対的な内旋が生じたと考えられる。

【まとめ】今回、膝関節の副運動に着目し、伸展運動に付随して起こる脛骨の回旋角度についてOKCとCKCで比較した。結果は、OKCよりCKCの方が脛骨の外旋角度が有意に少なかった。

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© 2007 日本理学療法士協会
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