理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 193
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内部障害系理学療法
急性心筋梗塞に対する心臓リハビリテーションプログラムの進行を阻害する要因について
*飯田 直行中村 健夫東 嘉隆加治屋 彰憲濱田 隆文横山 ゆかり八木 敦子大重 匡
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抄録
【目的】当院は1992年より急性心筋梗塞(以下AMI)患者を対象とした心臓リハビリテーションプログラムを作成し,モニター監視下での運動療法を施行すると同時にプログラムの到達度に応じた安静度を決定してきた。長期臥床によるdeconditioningや合併症の予防の観点から,十分なリスク管理のもと発症後早期からのリハビリテーションは重要であり,当院でも実際に取り組んできたが,プログラムを最終段階まで遂行できず途中で終了となってしまう症例もみられた。今回は,発症年齢,心機能,body mass index(以下BMI)の観点から心臓リハビリテーションプログラムの進行を阻害する要因について検討した結果,新しい知見が得られたので報告する。

【方法】対象は2004年4月から2006年3月までの期間に当院にてAMIと診断され,心臓リハビリテーションプログラムを施行した43名で,プログラムの最終段階までクリアできた成功群(以下S群)33名とプログラムの途中で終了となった不成功群(以下U群)10名に振り分けた。両群間で発症時の年齢,発症直後にSwan-Ganzカテーテルから測定された平均肺動脈楔入圧(以下PCWP),心係数(以下CI),心拍出量(以下CO),発症直後の心臓超音波検査から算出された駆出率(以下EF),発症時のBMIについて比較検討した。統計処理は発症時の年齢,CI,CO,EFについては対応のないt検定を,PCWPとBMIについてはWilcoxon検定を用いた。いずれも有意水準は危険率5%未満とした。

【結果】発症時の年齢は,S群66.7±11.5歳,U群78.8±10.3歳となり,S群に比しU群は有意に高齢であった(p<0.05)。PCWP(S群14.5±7.6mmHg,U群17.1±15.0mmHg),CI(S群2.7±0.7l/min/m2,U群2.7±0.8l/min/ m2),CO(S群4.4±1.2l/min,U群3.9±1.1l/min),EF(S群54.8±13.4%,U群48.4±15.2%)では有意差を認めなかったが, S群はU群より心機能において良好な傾向を示した。発症時のBMIは,S群23.6±3.8,U群21.7±2.0となり,S群はU群に比し有意に高値であった(p<0.05)。(Mean±SD)

【まとめ】発症年齢,心機能,BMIから当院での心臓リハビリテーションプログラムの進行を阻害する要因を検討した結果,発症年齢とBMIはプログラムの進行に有意な関与が認められた。心機能についてはプログラムの進行に有意に関与しなかった。一般に肥満は冠危険因子であるが,AMIの発症後は,BMIが高値であることが必ずしも心臓リハビリテーションプログラムの進行を阻害する因子とはなりえないことが示唆された。
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© 2007 日本理学療法士協会
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