理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 817
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内部障害系理学療法
透析患者の体力に運動療法が及ぼす影響
*長野 智恵美駒場 章一積山 和加子武居 光雄
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抄録
【はじめに】
近年、透析技術や合併症に対する治療の進歩は目覚ましく、腎不全患者の生命予後が著しく改善された。しかし、透析患者は高齢化に加えて心身機能の低下が、廃用性症候群を助長させる大きな要因であり、これを如何に予防して体力を維持・向上させるかが大きな課題である。
今回、透析患者の体力維持・改善を目的に実施した理学療法が、実際どのような効果があったかを非透析患者を対照に比較検討し、若干の知見を得たので報告する。
【対象と方法】
対象は重篤な合併症がなく、自立歩行可能な透析患者4名(平均年齢76.5±1.0歳:以下、透析群)および非透析患者4名(平均年齢81.3±2.1歳:以下、非透析群)である。また全ての対象者には、体力維持・改善を目的として、週3回の通院時に約30分の運動療法を実施した。なお、透析群の平均透析期間は36.74±15.49ヵ月である。
調査項目は筋力(握力、等尺性膝伸展筋力)、動的バランス能力(Functional Reach Test、Timed up and go test)、歩行能力(速度:10m歩行速度、耐久力:6分間歩行距離〔以下、6MD〕)、自覚的運動強度(Borg指数〔15段階スケール〕)を実施し、二群間の統計学的検定を行った。
【結果ならび考察】
筋力、動的バランス能力、10m歩行速度については、透析群と非透析群の間に有意な差は認められなかった。しかし、6MDに関しては透析群の方が非透析群に比べ明らかに低下(P<0.05)しており、透析群の耐久力の向上が課題として残る結果となった。
透析群への運動負荷量に関しては、過負荷にならぬよう有酸素運動の範囲内で行うことが一般的である。今回、週3回両群に実施した理学療法も、自転車エルゴメーターを用いた有酸素運動(Borg指数12程度)を主体にしたプログラムであったが、結果は筋瞬発力に相当する握力、膝伸展筋力、10m歩行速度で両群間に差がなく、むしろ目的とした筋持久力である6MDで運動効果の差が認められた。この結果に関する原因を明らかにするには、多角的な分析が必要であるが、透析群は貧血に伴う酸素運搬能低下、低タンパク血症による筋代謝能力の低下など器質的な問題と、長年の闘病生活からくる心理的疲労の影響の両面を評価し検討することが重要と考えられた。従って、透析群の筋持久力の改善には、自覚的運動強度に加え、客観的なバイタルサインをモニターしながら運動負荷量を決定していく必要がある。
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© 2007 日本理学療法士協会
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