理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 818
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内部障害系理学療法
長期透析患者における起立負荷時の自律神経活動反応パターン
単一症例における透析・非透析日の比較
*山本 明寛佐々木 嘉光本田 さやか小出 弘寿西田 裕介山内 克哉
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抄録
【はじめに】以前から透析患者は自律神経障害を合併すること、また、運動療法が自律神経機能改善に有効であることが報告されている。しかし、透析が自律神経機能へ及ぼす影響については個人差が大きい。そこで今回、長期透析患者1症例を対象に、透析、非透析日における自律神経活動を起立負荷試験時の反応パターンにより比較した。また、健常者との比較も行った。
【症例呈示】本症例の呈示に当たり、対象者には本研究の説明及び同意の確認を口頭及び紙面にて十分行い、承諾を得た。症例は55歳女性で、診断名は慢性腎不全・頚髄症である。透析暦は29年であり、現在、週3回の透析治療を実施している。身長146cm、体重48kgでBMIは22.5kg/m2、Dry weight46.5kgである。除水率(体重比)は3%で水分制限は行っていない。ADLはBarthel Indexで50点である。移動手段には車椅子を使用し、生活範囲は病棟内である。平成18年3月2日より理学療法を1日40分、週3回、約7ヶ月間実施している。
【方法】測定プロトコルは、安静臥位10分、60°起立10分、回復臥位5分とし、主な測定項目は、血圧及び心拍数とした。また、自律神経活動は、心拍変動(HRV)解析を用いて評価した。HRV解析は胸部誘導心電図にて得られた1拍ごとのR-R間隔から、高周波成分と低周波成分を算出し、高周波成分(HF)を副交感神経活動、低周波成分/高周波成分(LF/HF)を交感神経活動の指標とした。起立負荷試験にはTilt tableを使用し、透析日、非透析日・リハ施行、非透析日・リハ未施行のそれぞれ同時刻(17:00開始)に測定した。また、健常者男性1名(年齢:29歳、身長185cm、体重73kg)について、同時刻に同プロトコルによる測定を行った。
【結果】健常者では、起立負荷時に交感神経活動が高まり、回復臥位に伴い速やかな交感神経活動の興奮性も減少する反応パターンであった。症例においては、透析日では健常者同様の反応パターンを示したが、非透析日では、リハの有無に関わらず、起立負荷により交感神経の興奮性が高まり、回復臥位で交感神経活動の興奮性がさらに増加した(リハ施行:0.887(安静)→1.991(起立)→2.757(回復)、リハ未施行:0.375(安静)→0.887(起立)→1.373(回復))。
【まとめ】正常な起立負荷試験に対する自律神経の反応パターンは、圧受容器反射の影響から本研究における健常者の反応パターンと一致する。本症例において、透析日では健常者同様の反応パターンであったが、非透析日では正常反応パターンからの逸脱が認められた。このことから、非透析日の自律神経活動が不安定であると考えられる。そのため、非透析日における運動療法の実施の際には、心拍数や血圧、自覚症状等のリスク管理を十分に行う必要があると考えられる。
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© 2007 日本理学療法士協会
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