理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 342
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生活環境支援系理学療法
通所リハにおける機能訓練プログラムのあり方
*根木 亨猿田 祐介龍田 記方猪股 祐佳肥田 理恵加藤 ミサ子金上 宣夫村岡 卓哉大堀 克己
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抄録
【はじめに】平成18年度の介護保険制度改正は、全国の老人保健施設におけるリハビリテーションプログラムの内容に大きく影響を与えている。今回、我々は当施設での機能訓練プログラム(プログラム)に対する選択と効果(適応性)について検証・報告する。
【プログラム】個別訓練(個別:動作訓練を主体)、マシントレーニング(マシン:コンパス4台を使用、集団形式)、水中運動療法(水中:施設内専用プールを使用、歩行訓練やストレッチをベースとした包括的な訓練形式)の3セクションにて実施。利用者の各プログラムへの参加は、利用者本人・家族のNeedsを主体として決定。
【対象】通所リハ利用者57名。介護度別に支援2:5名、経過的要介護:7名、要介護1:30名、2:12名、3:3名。疾患障害別に脳血管・神経疾患20名、内部障害系7名、骨関節疾患23名、その他7名。なお、プログラムを重複して実施している利用者は対象から除外した。
【評価】握力(GR)、脚伸展筋力(EXT)、Timed Up & Goテスト(TUG)、Berg Balance Scale(BBS)、SF-8の計5項目をプログラム開始後1年目で実施。
【検証】全対象を個別19名、マシン19名、水中19名の3群に分類。対象プロフィール(男女比、平均年齢)と評価結果を基に3群間で比較検討した。統計処理には対応のないt-検定を用い、危険率5%未満を有意とした。
【結果】GR(kg)は個別21.9±7.8、マシン21.4±7.7、水中25.1±8.5、EXT(kg)は個別21.8±7.5、マシン23.9±9.4、水中27.8±10.9であった。TUG(sec)は個別21.5±11.5、マシン15.1±9.5、水中10.8±5.7、BBSは個別38.0±11.1、マシン44.6±9.6、水中49.8±6.6でTUG・BBS共に個別・水中間(p<0.01)で有意差を認めた。SF-8は「活力」で個別(46.1±5.0)・水中(50.1±6.3)間(p<0.05)に、また「精神的サマリースコア」で個別(47.0±5.4)・水中(51.3±5.5)間(p<0.05)に有意差を認めた。対象プロフィールは平均年齢で個別(80.1±7.5)・水中(73.7±8.2)間(p<0.05)に有意差を認めた。
【考察】水中では、他の群に比して若年齢であり、基礎体力面および精神面で優位であること、BBSで臨床上での移動能力障害のCutOff値45点を上回っていることから、対象の適応性が水という特異な環境に耐え得る低リスク層にシフトしている傾向を示す。また個別・マシン間では、バランス面での差から姿勢・動作能力が対象の適応性に影響を及ぼしていることが推測される。今後、プログラム開始からの縦断的変化を介護度や自立度、日常生活動作能力、疾患・障害分類から評価する必要がある。
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© 2007 日本理学療法士協会
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