理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1180
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生活環境支援系理学療法
療養型病院における連携構築を目指して
職員への意識調査と取り組み
*西村 育恵能勢 教代永吉 恭子前田 真由美伊藤 直樹
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抄録
【はじめに】当院は開設6年目の療養型病院(医療療養86床、介護療養病床10床)である。患者を中心とするチームケア、生活支援を考える中で、病棟スタッフとの情報交換不足、目標設定の統一感の低さなどを問題点として感じた。患者によりよいリハビリテーション(以下リハ)を提供するためには他職種との連携を深め、互いの仕事内容を理解し興味を持つことが最重要課題と考える。そこで、今回、看護職員(以下Ns)、介護職員(以下CW)に、リハに対する意識調査を実施した。その調査結果より現状を把握した上で連携構築へ向けた取り組みを始めたので報告する。
【対象】当院に勤務するNs、CW45名。平均年齢はNs42.4±10.8歳、CW39.3±11.8歳、平均経験年数はNs.15.4±8.7年、CW5.0±3.9年であった。
【方法】アンケート方式で実施。アンケート期間は8月16日~25日とした。
【調査内容と結果】回収率は100%であった。アンケートは全5項目であり、回答率も91.1%と高かった。項目別にみるとQ.理学療法、作業療法の効果を感じるか?については「十分感じる、まあまあ感じる」が75%であった。Q.リハの仕事内容は分かりますか?については「よく分かる、まあまあ分かる」が66%であった。Q.リハに関わって欲しい職務は?(上位3つ)「摂食嚥下」(37%)、「ADL、IADL向上」(35%)、「廃用予防」「身体機能向上」(各22%)を望む意見が多かった。Q.リハとの連絡はとりやすいか?については「ややとりにくい、とりにくい」が40%と多かった。Q.リハ主催の勉強会を開催するならどんなテーマに興味があるか?(上位3つ)「トランスファー介助」38%、「ポジショニング」29%、「レクリエーション」27%であった。
【考察】今回のアンケート調査によって、リハの効果や仕事内容についてはある程度、認知はされているものの、連携の基本となるコミュニケーション不足が露呈した。理由として、他職種側の時間的余裕のなさが多く、次いでリハ室に入りにくい、というものであった。これらを解消する為には、他職種と関わる時間が必要であると考えた。そこで連携の構築へ向け、以下の取り組みを開始し始めた。1. Ns、CWを対象とした勉強会(リハ主催)を参加しやすい時間や実技を中心としたスタイルへ変更した。2.病棟ADLへの直接的な働きかけを積極的に行うようになった。3.看護部とリハを中心にしてカンファレンス形態を変更した。
今後もこうした活動を継続・促進し、日々の生活支援に活かしていきたい。また、リハスタッフも他職種の現状把握と理解を深め、患者の身体・精神機能を最大限に活性化できるよう連携を図っていきたいと考えている。
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© 2007 日本理学療法士協会
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