理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 404
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教育・管理系理学療法
理学療法学科2年次生の職業興味と臨床実習との関連について
*韮澤 力高鳥 真長谷川 正浩小林 麻衣橋本 尚幸高木 裕二一ノ本 隆史
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抄録
【目的】今回臨床実習を終了した学生の職業興味と自信度を把握する目的で,職業レディネス・テストを実施し,内容について検討したので報告する.
【対象と方法】対象は,平成18年3月に当理学療法学科に在学した2年次生で臨床実習終了者39名(男性17名,女性22名,平均年齢22.4±4.7歳)である.方法は,臨床実習終了後に新版職業レディネス・テスト(日本労働機構発行)を実施し,臨床実習成績との関連について検討した.テストは職業志向性と基礎的志向性の2つの側面を対象として,3つ(A・B・C)の検査で構成する.A検査は職業・仕事の内容を記述した54項目の質問からなり6種類の興味領域(R:現実的,I:研究的,S:社会的,C:慣習的,E:企業的,A:芸術的)を測定する.B検査は日常の生活行動や意識について記述した18項目からなり,3種類の基礎的志向性(D:対情報関係志向,P:対人関係志向,T:対物関係志向)を測定する.C検査はA検査と同一の質問で構成され,職務遂行の自信度を測定する.各検査は標準得点に換算して表し,個人の特徴をみる.尚,調査に際しては学生に事前説明を行い了解を得て実施した.
【結果】全体の職業的興味領域はR:58.1点(60.3),I:59.8(61.2),S:60点(61.4),C:48.5点(54),E:49.6点(50.3),A:46.4点(47.1)であった(()内はC検査:自信度の得点).Sが一番高く人と接したり奉仕したりする仕事や活動の領域とされ,医療職関係が含まれる.基礎的志向性はD:48.8点,P:50.1点,T:48.8点であった.主に人に直接関わる活動に対して個人の諸特性が方向づけられていることを示す.臨床実習成績との関連では,成績優・良群の職業的興味領域・基礎的志向性は全体と同傾向を示し,成績可・保留群の職業的興味領域はR:59.6点(62.9),I:61.5点(62.7),S:61.2点(64.4),C:52.6点(58.4),E:48.9点(51.5),A46.7点(48)であった.基礎的志向性はD:50.5点,P:48.13点,T:50.8点であった.このタイプはデータと物の両方に関わることに対して個人の諸特性が方向づけられていることを示す.成績優以外で基礎的志向性の対人関係志向が低値(39点以下)の学生6名(15.4%)がいた.職業興味領域得点が全体に低値でプロフィールの形状に山と谷のない平坦な学生が2名(5%)いた.
【考察】全体をみると,2年次終了時では職業興味領域,基礎的志向性とも医療職に向いていることがわかる.一方,対人関係志向が低値(39点以下)の学生は,実習の経験が影響を受けた可能性があり,プロフィールの形状が平坦な学生は,職業の興味や志向性が未分化なことを意味し,職業への準備性ができていないか,実習の経験がマイナスとなり気持ちに迷いが出ている可能性が考えられる.臨床実習は職業準備行動,職務との適合をみる上でも重要であると言える.
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© 2007 日本理学療法士協会
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