理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1143
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教育・管理系理学療法
東京都理学療法士会、診療報酬改定に伴う影響調査の実施
*千葉 哲也五十嵐 麻子野北 一樹廣瀬 聖一郎真栄城 健小笠原 尚和高木 秀弥伊藤 隆夫
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抄録
【目的】平成18年度診療報酬改定は我々理学療法士にとって、大きな影響を及ぼした。今回我々は東京都士会員の診療報酬を取り巻く実態を把握することが士会として実りある活動を行なうために必要と考え、アンケート調査を行ったので報告する。
【方法】アンケートの配布、回収は1.各施設代表者への郵送し、同封封筒で返信2.
会員全てに配布するニュースに掲載、FAXで返信3.ホームページで閲覧し添付ファイルで返信する方法と、3つの方法で回答を可能とした。対象は都士会員の所属する医療機関400施設全てとし、実施期間は脳血管疾患等リハビリテーション(以下脳血リハ)の算定日数上限を過ぎた10月1日より31日までとしたが10月末までの内容を記載する施設もあることから受付期間を15日間延長し現在もまだ集計中である。そのため抄録では10月中の返信のみをまとめた。
【結果】回収率は41.3%で半数以下であった。主な施設基準は脳血リハI取得が38施設、脳血リハIIが81施設、脳血は算定せずに運動器リハ(以下運リハ)Iは6施設、運リハIIは5施設、心大血管リハIのみが1施設、訪問リハのみが3施設であった。増収した施設は30%41施設、25%の増収で、Iを取得、単位数の緩和、低減の廃止が主な理由であった。減収施設は55%75施設、30%の減収で、Iの取得が困難、対象者の減少が主な理由であった。外来に対しては縮小または閉鎖とした施設は59%、外来時のクレームが増したのは72%の施設であった。理学療法終了とするおもな理由が、必要性はあるが算定日数上限のためやむ終えず終了が63%、目標達成のため33%であった。疾患別リハが妥当ではないとの意見は87%あり、理学療法料がリハ料となったことには78%、算定上限日数が設けられた事に対しては84%が妥当ではないと感じている。
【考察】今改定後、多くの会員から改定に対しての不満の声が聞かれたが、調査をしても半数以上の施設から回答が無かった。これは理学療法士の診療報酬に対する意識が低い可能性も考えられるが、協会、士会に対し信頼や関心が低い可能性も否めない。いずれにしろ大きな変革期で結束力が必要な時期であるにもかかわらず結束力が低下していると考えられる。算定期間制限は多くの会員が妥当では無いと考えており、我々が理学療法の必要性があると考えている患者様を制度のために終了せざるおえなくなった。また多くの施設で外来を縮小閉鎖し、対象者の減少が減収となった主な理由として挙げられている。収益が向上した施設もあるが、リハビリテーションを発展させようとする我々理学療法士にとって本改定が良い方向に向いているとは言いがたいと思われる。
【まとめ】以上の結果をふまえ会員、関係諸機関に公表し士会理事、役員と検討してゆきたい。
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© 2007 日本理学療法士協会
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