日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
我が国における急性肝不全の実態
持田 智
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2016 年 105 巻 8 号 p. 1463-1471

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抄録

厚生労働省研究班は欧米との整合性を考慮して,2011年に「わが国における急性肝不全の診断基準」を作成した.2010年以降の発症例に関しては,この基準に準拠して,肝炎以外の症例と非昏睡例も含めて,急性肝不全および類縁疾患である遅発性肝不全の全国調査を実施している.現在までに2010~2014年に発症した1,341例が登録されたが,これらの解析からB型肝炎などのウイルス性症例が減少し,薬物性,自己免疫性肝炎および肝炎以外の症例が増加していることが明らかになった.しかし,B型では,HBs抗原陽性のキャリア,HBs抗原陰性の既往感染例ともに,免疫抑制・化学療法による再活性化症例が根絶できていない.治療法に関しては,昏睡覚醒効果が高いon-line HDFが普及してきているが,昏睡型の救命率は向上していない.したがって,救命には肝移植に依存せざるを得ないのが現状である.そこで,厚生労働省研究班は,スコアリングシステムとともにデータマイニングによる統合ハイブリットモデルを開発し,正確な予後予測を目指している.

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© 2016 一般社団法人 日本内科学会
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