理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1158
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教育・管理系理学療法
障害者に接する機会は,入学後,より早期の方が効果的か
入学半年後の体験と1年後の体験の比較
*溝田 勝彦佐々木 久登村田 伸
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キーワード: 障害者, 体験, 早期
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抄録

【目的】障害者に接する機会を得るため,2期生では1年次春期休業時にボランティア体験を近隣の介護老人保健施設で実施した.しかし,より早期に実施した方が効果的ではないかと考え,4期生では夏期休業時に実施した.その結果を2期生67名と比較検討したので報告する.

【方法】対象は4期生46名である.受け入れ施設の事情により4期生の約半数のみが夏期休業時の実施が可能であった.実施方法は3日間連続して同一のデイケア(5名一組)またはデイサービス(2名一組)で実施した.終了後,2期生の感想をもとに作成した6分野44項目(コミュニケーションの大切さ,対象者の個別性,専門的知識・技術の重要さ,スタッフとしての条件,職業意識等に関する質問)および満足度(体験全体,自然に接する,コミュニケーションをとる,障害高齢者のイメージをつかむ,自分の取り組み方)に関するアンケート調査を実施した.回答は,「大切だと感じた・満足:5点」から「大切だとは思わなかった・不満:1点」までの5件法で求め,結果を2期生と比較検討した.

【結果】46名全員から回答を得た.その結果,満足度に関しては利用者と自然に接する(2期生3.70±0.95,4期生4.09±0.89),利用者とコミュニケーションをはかる(2期生3.69±1.02,4期生4.22±0.84),自分の取り組み方(2期生3.24±1.03,4期生4.09±0.84)で有意差が認められ,障害高齢者のイメージをつかむ(2期生3.97±0.87,4期生4.26±0.68)で傾向が見られた.ボランティア全体としての満足度には差は認められなかった(2期生4.22±0.79,4期生4.30±0.94). また,6分野の回答の比較ではコミュニケーションの大切さ・とり方(2期生4.53±0.39,4期生4.79±0.36),対象者への個別的対応の大切さ(2期生4.50±0.44,4期生4.81±0.33)の分野で有意差が認められたが,その他は認められなかった.実施期間に関して2期生では,よかった:54.5%,短かった:41%であったのに対し,4期生では,よかった65%,短かった21.8%であった.

【考察とまとめ】入学1年後の実施より半年後に実施した方がより満足度が高く,またコミュニケーションの大切さや障害者への個別的対応の大切さをより感じることができた.しかし,専門性の重要性,職業意識や資質に関しては実施時期に関しての差はなかった.以上の結果より,入学後,より早期に障害者に接することは,少なくとも情意領域の教育に関して有効であると考えられる.今回は2期生と4期生の比較であり,必ずしも実施時期の違いが結果に反映したとは言い難い.しかしやむを得ず,4期生の残り半数は入学1年後の春期休業時に実施するため,同学年での実施時期の違いによる比較が可能である.当日は,その結果を追加して報告したい.

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© 2007 日本理学療法士協会
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