理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 48
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理学療法基礎系
重度障害者における椅子座位の効果
斉藤 恵子阪井 三知恵岡部 知昭大内 伸浩北沢 蘭
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抄録
【目的】
重度障害者において、座位をとることは拘縮予防や痰の喀出、呼吸など身体機能において有効であると多く報告されている。以前から当院では「座る」取り組みを積極的に行ってきたが、重度障害者においては車椅子座位がほとんどであった。そこで重度障害者にも、より快適な時間を提供したいと考え、車椅子から椅子に座る(以下、椅子座位)取り組みを行った。今回、姿勢と筋緊張の変化を元に車椅子と椅子での座位を比較し、そこから得られるリラクゼーション効果を検討した。
【対象】
障害老人の日常生活自立度ランクC2で椅子に座る取り組みを行った脳血管障害のある方12名(男性4名、女性8名、平均年齢76±11.9歳、四肢麻痺10名、左片麻痺2名)。
【方法】
椅子はクッション性のあるソファーまたはリクライニングソファーを使用。その際、頭・頚部が正中位となり視界が広がること、シートとの接触面が多くなることに配慮してポジショニングを行った。(1)前額面・矢状面より姿勢の写真撮影を行い、姿勢を観察。(2)Modified Tardieu Scaleを使用し、車椅子座位、椅子座位での麻痺側肘関節伸筋の筋緊張を評価。他動的に伸張するにあたり、(A)できるだけゆっくりした速度で伸張した角度、(B)できるだけ速く伸張し最初にひっかかりが感じられる角度を測定し、(A)と(B)の差を比較した。その差が大きいものを筋緊張亢進の状態にあると判断した。(竹内らの研究を参考*1)
【結果】
(1)対象となる12名すべての方が姿勢を保ち、椅子に座ることができた。(2)(A)と(B)の差の平均値は、車椅子座位44.2°、椅子座位30.5°であり、車椅子座位のほうが大きい傾向にあった。(3)(A)と(B)の差を比較して、車椅子座位のほうが良い結果を示す方はいなかった。
【考察】
今回対象となった方全員が姿勢を保って椅子に座ることができ、また車椅子と椅子の座位を比較すると椅子座位は筋緊張が低い状態にあることからリラクゼーション効果が得られやすいことがわかった。椅子座位が快適になることで、重度障害者にとって臥床傾向にある日常生活を活性化する一つの手段となり、活動機会の増加や新たな反応を引き出すことにつながると考える。快適な座位をとるために、セラピストが適切な評価やシーティング、活動を行なって座る環境を整え、活動の幅を広げていくことが必要であると考える。
*1:竹内伸行 他:Modified Tardieu Scaleの臨床的有用性の検討―脳血管障害片麻痺における足関節底屈筋の評価―.理学療法学33:2006
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© 2008 日本理学療法士協会
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