理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 494
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理学療法基礎系
当院回復期リハビリテーション病棟における他科紹介の現状
山崎 洋揮
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抄録
【目的】
当院回復期リハ病棟入院患者は高齢である。合併症・基礎疾患だけでなく他疾患を有する患者が多く,リハを施行する上で日常生活自立の阻害となる患者を経験する。そこで今回,当院回復期リハ病棟における他科紹介や内訳を調査し,若干の知見を得たので報告する。
【方法】
当院回復期リハ病棟をH18.8~H19.8の期間に入退院した101名を対象とした(男性56名,女性45名。平均年齢71.7±13.2歳。脳血管疾患97名,整形外科疾患4名)。1)リハ科を除く当院15診療科の紹介件数と内訳とを調査した。また2)食事,排泄について入院時と退院時とでの自立度の変化を調査し,他科紹介による影響を検討した。
【結果】
対象者101名の内,87名(86.1%)205件が11診療科に紹介。紹介対象として以下の3項目に分類,紹介件数は現疾患及び合併症に対し85件,基礎疾患に対し15件,他疾患に対し105件であった。紹介科別の内訳はa)耳鼻科48名(47.5%):嚥下機能検査39名,身体障害者手帳申請2名,他7名。b)眼科28名30件(27.7%):白内障治療12件,他疾患治療12件,他6件。c)泌尿器科26名(25.7%):排尿障害22名,他治療3名,内視鏡検査1名。d)内科25名27件(24.8%):検査及び治療16件,糖尿病・血圧コントロール6件,手術5件。e)歯科22名23件(21.8%):義歯調整14件,口腔ケア5件,他4件。f)6診療科51件:治療41件,検査及び経過観察9件,他1件であった。他科紹介の内,転棟・転科治療が7名。内訳は,胃瘻増設4件,小腸壊死開腹手術1件,硬膜外膿瘍開頭手術1件,胆嚢結石内視鏡手術1件である。食事に影響するものとして耳鼻科39名,歯科14名が紹介。嚥下機能検査による食形態の変更や胃瘻増設,義歯調整が目的となっている。また,誤嚥著明のため胃瘻レベルも家族希望により経口摂取となった患者も1名いた。排泄に影響するものとして泌尿器科26名が紹介。排尿障害に対する検査・治療により病棟での関わりを変更した患者や,バルーン留置か離脱かを判断された患者もいた。
【考察とまとめ】
1)紹介数や内容の結果から医療依存度の高さだけでなく,多種多様なNeedが伺えた。他疾患に対する紹介件数が現疾患及び合併症に対する件数を上回っており,他疾患に対する医療提供も必要と考えられた。2)医療依存度や検査結果により,病棟での関わりや方針決定がなされたことから日常生活自立度の阻害因子となりえることが示唆され,リハと医療を並行して行うことが重要であると考える。当院では医師・看護師・社会福祉士・リハスタッフが出席する申し送りや軒下カンファレンスにて情報交換が行われ,他科紹介や方針決定が提案される。食事・排泄に対するアプローチ方法や目標を提案・設定する場に出席する職種として,他部門との連携・情報交換の為の知識を身につけておくことが必要であると考えられるだろう。
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© 2008 日本理学療法士協会
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