理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1096
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理学療法基礎系
ステップダウン時のknee-inと下肢筋筋活動との関係
佐久間 香赤堀 強志大畑 光司市橋 則明
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抄録
【目的】膝に痛みを有する患者は動作時にknee-inを示すことが多く、膝蓋大腿関節の痛みはknee-inと関連があると報告されている。しかし、knee-inを呈する動作を取る際の筋活動様式は定かではない。本研究の目的は、ステップダウン時のknee-inと下肢筋筋活動の関係を明らかにすることである。

【方法】対象は、健常成人13名(男性7名、女性6名、年齢23.7±5.0歳、身長165.4±6.4cm、体重60.6±10.0kg)とした。被験者に研究の趣旨を十分に説明した後、書面にて同意を得た。動作課題はスッテプダウンとし、測定項目は動作解析と動作時の右下肢筋筋電図とした。20cm台上の右片脚立位を開始肢位とし、メトロノームのリズムに合わせて左下肢を前方の床面に母趾が触れるまで下ろした状態で荷重しないよう保持し、開始肢位に戻させた。動作解析の反射マーカーは両側股関節(上前腸骨棘と大転子を結ぶ線上の近位1/3)、右膝関節(膝関節裂隙外側部)、右外果に取り付けた。被験者前方よりDVカメラにて撮影した後、撮影した画像を30Hzにてパソコンに取り込み、DKH社製Frame Dias2にて解析を行った。右股関節-右膝関節と右膝関節-右外果を結んだ線のなす角度を膝関節内外反角度とし、開始肢位より外反方向へ膝が移動したものをknee-in群、それ以外のものをnormal群とした。筋電図の測定筋は右側の大殿筋下部、中殿筋前部、大腿直筋、内側広筋、半膜様筋、腓腹筋内側部、ひらめ筋とした。筋電計はNoraxon社製テレマイオ2400Tを用いた。測定した生波形から全波整流した後、50msの二乗平均平方根(以下RMS)を求めた。ステップダウン時の3試行のRMSを平均した後、各筋の最大等尺性筋収縮を100%として正規化し%RMSを求めた。各筋の%RMSにおけるknee-in群とnormal群の比較を、対応のないt検定を用いて分析した。有意水準は5%未満とした。

【結果と考察】動作解析の結果、knee-in群7名(男性2名、女性5名)、normal群6名(男性5名、女性1名)であった。中殿筋の筋活動はknee-in群で17.1%、normal群で9.6%であり、knee-in群の方が有意に高かった(p<0.05)。また、大殿筋の筋活動はknee-in群で14.4%、normal群で5.3%であり、knee-in群の方が有意に高かった(p<0.01)。他の筋の筋活動においてもknee-in群が高い傾向を示したが有意な差は認めなかった。本研究の結果より、knee-in群では股関節内転、内旋を制御するために中殿筋、大殿筋の筋活動を増加させる必要があると考えられた。
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© 2008 日本理学療法士協会
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