理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1296
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理学療法基礎系
Bluetooth通信式3軸加速度・筋電計解析装置による歩行時間因子解析の信頼性について
諸角 一記藤原 孝之キャステル クリスパレルモ フランシスドレイパー デイビッド
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抄録
【目的】我々は日米共同で新しい身体計測総合評価システムの開発を進めている.本評価システムツールは理学療法領域における筋電計,加速度計,角度計,筋力計,温度計,筋硬度計,痛覚計など身体計測に広く活用できる項目を網羅している.本研究ではBluetooth通信式3軸加速度計・筋電計歩行解析装置を用い,加速度波形より歩行周期時間因子を算出し,その信頼性について検討した.

【方法】本研究の目的を説明し書面による同意の得られた,下肢や脳機能に歩行障害が残るような外傷既往の無い健常成人男子15名の被験者(平均年齢21.8才19~27才,平均体重63.1 ±7.9kg,平均身長174.3±5.8 cm)を対象として, テストの翌日に再テストを実施した.測定部位は,L3腰椎椎体中央部3軸加速度変化(X,Y,Z軸),右膝蓋腱上Z軸加速度,右大腿四頭筋とハムストリング筋電位,右踵部圧力センサ,検査者プッシュスイッチの8チャンネル.それらをBluetooth送信機から無線でノートパソコンへ送った.被験者は16m歩行路(初期3m加速路,後半3m減速路)を速い・中間・ゆっくりの3種のスピードで各3回歩行した.サンプリング周波数1kHzで採取されたデータは多用途生体解析システム(BIMUTASII,キッセイコムテック)を用いて解析した.各スピードにおける歩行時間因子については加速度波形自己相関分析を用いて10歩分データを算出し加算平均した.統計処理にはSPSS 12.0 for Windowsを用い,信頼性テストは級内相関係数を,そして各被験者データのスピード変化による違いはFriedman検定を用いた.その後の多重比較はゆっくり歩行を基準に中間歩行と速歩への変化にWilcoxonの符号付き順位検定を用いた(有意水準は5%未満とした).

【結果】自己相関分析の結果から得られたステップレングス,ストライドレングス,ケイデンスは,ゆっくり歩行,中間歩行,速歩の各歩行スピードにおいて級内相関係数はICC(1,1)0.827~0.987であった.そしてFriedman検定とWilcoxonの検定結果は,テストと再テスト両者において有意(p<0.01)に変化した.

【考察】今回,我々が用いたBluetooth通信式3軸加速度計における歩行時間因子の分析では,全ての項目において高い信頼性が認められた.本装置は無線で拘束性が少なく,また,その他各種の計測センサとの組み合わせが可能であり,今までの筋電位無線通信測定では稀なサンプリング周波数1kHzを可能としている.したがって、本装置と自己相関分析を活用することにより歩行解析等におけるエビデンス作りに貢献できるものと考える.
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© 2008 日本理学療法士協会
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