2020 年 4 巻 1 号 p. 17-23
本研究はグローバル・マーケティングで等閑視されてきた,自国の産業や雇用保護の観点から国内製品よりも輸入製品を選択することで生じる消費者のギルト(guilt)に注目し,それが日本からの輸入製品態度に及ぼす影響や好況感による調整効果について,台湾および中国の消費者を対象に検証を行った。検証結果から,好況感とギルトは輸入製品への態度にそれぞれ正負の影響を及ぼし,好況感の調整効果は台湾においてのみ観測された。また,輸出先の国家や地域の消費者が足元の経済状況を大変良好だと知覚している場合,ギルトの度合いをあまり気にせずにマーケティング活動を行うことが可能なことが示唆された。