理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 103
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骨・関節系理学療法
片脚立位時の後足部アラインメントと下腿筋の筋活動の関係
藤原 正史山内 仁大工谷 新一
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抄録

【目的】
本研究は、自然立位時の後足部アラインメントと片脚立位時の下腿踵骨角(Leg heel angle:以下LHA)、内側縦アーチ高、下腿筋の筋活動との関係を明確にすることを目的とした。

【方法】
まず被験者の自然立位と片脚立位におけるLHAを計測し、自然立位時のLHAが10°以上外反位を呈するもの(外反群)、0~10°外反位を呈するもの(正常群)に分類した。内側縦アーチ高は、体表からマークした載距突起下縁、舟状骨結節、第1中足骨底を足部内側からデジタルカメラで撮影し、床からの距離を計測した。そして、自然立位と片脚立位の差を変化量とした。表面筋電図の記録はmyosystem1400を用い、片脚立位5秒間保持中の前脛骨筋、後脛骨筋、ヒラメ筋、長腓骨筋を記録した。片脚立位3回の各筋の筋電図積分値(以下IEMG)を平均し、代表値とした。各筋の代表値を自然立位時の同名筋のIEMGで正規化し、片脚立位時のIEMG相対値(以下%IEMG)を算出した。

【結果と考察】
対象はLHAの計測により外反群8肢、正常群16肢に分類した。片脚立位時のLHA、下腿筋の%IEMGは、外反群と正常群において有意な差は認められなかった。内側縦アーチ高は、外反群において舟状骨高、第1中足骨高が有意に挙上した(対応のないt検定;p<0.05)。このことは、外反群は自然立位時に内側縦アーチが低く、片脚立位時に足部内側より剛性の高い足部外側へ荷重するためには、正常群よりも内側縦アーチを挙上させる必要があると考えられた。
次に外反群8肢に着目すると、片脚立位時にLHAの変化した方向より2つに分類することができた。1つ目は、LHAが自然立位より片脚立位時に外反するもの(3肢)、2つ目は、LHAが自然立位と片脚立位時で変化しないもの(5肢)があった。内側縦アーチ高は両者ともに片脚立位時に挙上した。LHAが自然立位より片脚立位時に外反するものでは、特に長腓骨筋の%IEMGが高値を示した。このことは、LHAの外反に長腓骨筋が関与し、内側縦アーチの挙上においても、前脛骨筋や後脛骨筋より長腓骨筋の影響が大きいと考えられた。したがって、長腓骨筋は荷重位における足部内側挙上にも関与している可能性が示唆された。LHAが自然立位と片脚立位で変化しないものでは、各筋の%IEMGが外反群8肢の%IEMGよりも低値を示した。このことは、片脚立位時に足部の支持が内側よりも剛性の高い外側となり、筋に対する負荷よりも構築学的な負荷が足部に加わる可能性が示唆された。
以上のことから、自然立位時に後足部が外反位であったとしても片脚立位を保持する方法には、主に筋活動で保持するものと、骨・靭帯など構築学的な組織で保持するものがあると考えられた。

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© 2008 日本理学療法士協会
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