抄録
【目的】荷重立位前後揺動刺激は変形性膝関節症患者においては軟骨代謝を促進し膝痛を軽減し、糖尿病患者では糖輸送担体 GLUT4 を刺激してインスリン非依存性ブドウ糖取り込みを促進する効果が見られている。これに筋収縮においては逆リクルートメント特性を持つ筋電気刺激を併用することでさらなる効果が得られる可能性がある。今回、呼気ガスや筋力などを指標に効果を検討した。
【方法】実験1では、健常成人男性7名( 21.4±2.0歳)を前後揺動刺激を加えた状態、前後揺動刺激と筋電気刺激を併用した状態について呼吸代謝測定装置AE-280SRC(ミナト医科)を用いて分析を行い静止立位と比較した。電気刺激併用型水平揺動装置(オージー技研、特注)は周期的電気刺激と正弦波による周期的揺動刺激を同時に行えるシステムである。前後揺動刺激は振れ幅を前後80mm、1秒間に3回転の速さで20分行った。電気刺激は大腿部で被験者の耐えられる最大刺激とした。
実験2は、健常成人女性18名(19.5±0.7歳)についてコントロール群(以下A群)、前後揺動刺激群(以下B群)、前後揺動刺激と筋電気刺激併用群(以下C群)に分け、介入前後で筋力を測定した。トレーニングは1ヶ月間、週3回の頻度で行い、刺激強度は実験1と同様に、前後揺動刺激は振れ幅を前後80mm、1秒間に3回転の速さで20分、電気刺激も大腿部で被験者の耐えられる最大刺激とした。
また、被験者には十分な説明を行い、同意を得た上で実験を行った。
【結果】実験1において、酸素摂取量は静止時5.6±0.6ml/kg/min、前後揺動刺激を加えた状態が8.5±0.8ml/kg/min、前後揺動刺激と電気刺激を併用した状態が15.3±2.0ml/kg/minであり、相互に有意差(p<0.05)を認めた。
実験2では、膝伸展筋力(60°/s)はA群において介入前1.73±0.26Nm/kg、後1.69±0.23Nm/kg、B群では介入前1.98±0.21Nm/kg、後2.03±0.19Nm/kg、C群では介入前1.69±0.56Nm/kg、後、2.05±0.42Nm/kgであり、C群では有意差(p<0.01)を認めた。また、膝屈曲筋力においてはB、C群はそれぞれ有意差(p<0.01)を認めた。
【考察】実験1より、酸素摂取量は安静時と比較すると、前後揺動刺激時で約1.5~2倍、電気刺激併用時で約3倍も増加していた。また、実験2よりB群とC群の筋力を比較すると、C群の方がより増加しているため、運動に参加している筋活動量が増加していることを示唆した。
これらのことから、歩行などが行えない整形外科疾患、運動に抵抗がある者に前後揺動刺激を加えることで歩行の代用ができ、電気刺激を併用することで、より効果的に運動が行えると考えられる。