理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 129
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骨・関節系理学療法
高位(C2)頸髄損傷者のギャッジ・アップから車椅子乗車までの経緯と理学療法
一宮 晶堀 竜次
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抄録
【はじめに】人工呼吸器管理下のC2頸髄損傷患者に対し、離床を目的とした理学療法を行なった。ギャッジ・アップ(以下GU)から座位時間の延長に難渋するも、姿勢アライメントの調整とともに行動分析学的な介入を行うことで、車椅子屋外乗車に至った症例を経験したので検討を加え報告する。
【症例】63歳男性。平成19年3月22日に階段から転落し受傷、N救急病院に搬送。C2軸椎骨折、C3以下の完全損傷(Frankel A)の診断。ハローベスト装着し、平成19年4月11日に手術・リハビリ目的に当院転院。転院後ハローベスト除去し頸椎カラー固定。両側の無気肺、胸水貯留みられ、急性胆のう炎併発。人工呼吸器の設定は、SIMV FIO 2 0.4 550ml×12回、PS:7 PEEP:3、Vital Sign:SpO2:96%、BP96/52、HR:75、動脈血ガス分析pH:7.492、PaCo2:37.3mmHg、PaO2:113.7mmHg、HCO3:27.9mmol/L。頭頸部は右側屈左回旋、左肩甲帯は内転挙上位、左上部胸郭は鎖骨下から平坦化。左僧帽筋、胸鎖乳突筋の緊張高く、体幹軽度左回旋。
【理学療法経過】5月1日C1/2後方固定術施行後GU30°まで可の指示。5月7日より頸椎カラー装着しGUフリーとなる。GU開始1週はGU20°にて3分、Borg Scale(以下BS)15、Spo2:98%、3週はGU25°にて5分、BS14、SpO2:99%、5週はGU30°にて20分、BS15、Spo2:99%とBedの角度、座位時間の延長には至らなかった。この際の呼吸循環状態は変動無く訓練中止は、患者の訴え(限界)によるものであった。そこで、頸部から肩甲帯、体幹、骨盤周囲の筋緊張調整と姿勢アライメントの改善に着目し、上記のアプローチ実施後にGUを行っていった。頭頚部は右側屈が軽減、肩甲帯は軽度内転位、上部胸郭の左右差はほぼ無くなった。また行動分析学的な観点からGUの角度と目標時間を事前に具体的に提示し、本人の疲労感に関係なく目標時間が来たら終了し途中疲労感が増大すればその時点で終了することに変更した。その結果、GU開始8週では30°にて30分×2回、9週では40°にて30分×2回、11週では60°にて45分×2回の座位時間の延長が行え、16週にて車椅子乗車、18週にてラップトップ型人工呼吸器使用し、車椅子屋外乗車45分間可能となった。
【考察】姿勢アライメントの改善によりGU時の頚部への負担が軽減し、また目標を具体的に提示することで訓練の明確な見通しを患者が実感できるようになり、座位時間の延長・車椅子乗車へと繋がって行った症例であったと考える。
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© 2008 日本理学療法士協会
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