理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 130
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骨・関節系理学療法
若年女性における骨密度と収縮様式別筋力との関連
小出 かつら山科 典子佐藤 三奈希上出 直人高平 尚伸
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抄録
【目的】若年女性の骨密度と運動機能との関連について,先行研究では骨密度と筋力との関連が検討されている.しかし,多くの研究では,筋力測定時の収縮様式に統一性がないため,骨密度と筋力との関連において,一定した見解が得られていない.そこで本研究の目的は,若年女性における骨密度と下肢筋力との関連を収縮様式別に比較検討することである.

【方法】対象者は,中学生時代から定期的に継続して運動を行っている31名(運動群)と,中学生時代から定期な運動を行っていない27名(非運動群)とした.なお,被験者には書面にて同意を得た.骨密度は,右踵骨を測定部位とし,超音波骨密度測定装置(CM-100,FURUNO社製)を用いて測定した.筋力は右膝関節伸展筋力を,等速性筋力測定装置(MYORET RZ-450,川崎重工社製)を用いて測定した.筋の収縮様式に関しては,膝関節90度屈曲位での等尺性収縮筋力,角速度を60,120,240deg/secとした求心性収縮筋力及び遠心性収縮筋力とした.その他,被験者の基本属性として,身長,体重の測定,喫煙歴,アルコール摂取量,カルシウム自己チェック表(石井ら,2005)を用いて小学生時代および現在のカルシウム摂取量を聴取した.統計解析は,両群の比較にはt検定または共分散分析を用い,骨密度と筋力との関連には,偏相関係数を算出した.なお,共分散分析及び偏相関分析には,アルコール摂取量,喫煙歴,小学生時代及び現在のカルシウム摂取量を共変量とし,有意水準は5%未満とした.

【結果】両群間の年齢,身長,体重に有意差は認められなかった.骨密度,等尺性収縮筋力,及び120deg/secでの求心性収縮筋力において,運動群は非運動群よりも有意に高値を示した(P<0.05).運動群と非運動群を合わせた全対象者において,骨密度と等尺性収縮筋力及びすべての角速度での求心性収縮筋力において相関が認められた(r=0.34-0.43:P<0.05).運動群と非運動群との間で,骨密度と筋力に有意な差が認められたため,運動群と非運動群に分けて検討をすると,運動群では等尺性収縮筋力,120deg/sec及び240deg/secでの求心性収縮筋力において相関が認められた(r=0.43-0.46:P<0.05).一方,非運動群では,筋力との関連は認められず,BMIとのみ相関が認められた(r=0.47:P<0.05).遠心性収縮筋力に関しては運動群,非運動群ともに骨密度との相関は認められなかった.

【考察】収縮様式別に骨密度と筋力との関連を検討した結果,等尺性収縮筋力及び求心性収縮筋力において骨密度と関連することが認められた.しかし,骨密度と筋力との関連は,運動群にのみ認められた傾向であったことから,運動習慣があり,下肢筋力が高い対象者に限定される結果である可能性が示唆された.
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© 2008 日本理学療法士協会
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