理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1680
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内部障害系理学療法
人工呼吸センターにおける理学療法介入患者の傾向
堀田 麻実子宮坂 智哉渡邊 智之木戸 聡史石川 朗福田 正人
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抄録
【目的】
当院は人工呼吸センターを平成15年9月に開設し、現在は59床において人工呼吸器離脱・継続を目的とした治療を行っている。理学療法は、関節可動域練習、体位排痰、排痰介助、呼気介助、運動療法、ADL練習等を主にベッドサイドで実施している。今回は当センターにおける理学療法介入患者の傾向を知る事を目的とした。
【方法】
対象は、平成15年9月から平成19年3月までに理学療法を処方された人工呼吸患者171例とした。男性117例、女性54例、平均年齢は72.3歳(19-93)であり、平均在院日数は314.7 日(7-1304)であった。また、方法は診療録による後方視調査とし、調査項目は基本情報、転帰、人工呼吸器離脱状況、入院時意識レベル、最終・退院時意識レベル、入院時ADL、最終・退院時ADLとした。ADLは基本動作を主体として分類し、意識レベルはJCSで分類した。
【結果】
疾患内訳は呼吸器疾患78例、低酸素脳症40例、脳血管障害28例、神経筋疾患13例、その他12例であった。転帰は転院62例、自宅退院3例、死亡退院50例、入院中56例であった。人工呼吸離脱状況は、完全離脱58例、一部離脱4例、離脱不可59例、離脱途中50例であり、当院入院から離脱までの日数は平均107.1日であった。入院時意識レベルは、クリア45例、1桁41例、2桁36例、3桁43例、鎮静下6例、最終・退院時意識レベルは、クリア43例、1桁28例、2桁41例、3桁49例、鎮静下6例、不明4例であった。入院時ADLは、完全臥床103例、Bed上座位57例、車椅子4例、端座位1例、立位1、歩行5例であり、最終・退院時ADLは、完全臥床56例、Bed上座位72例、車椅子16例、端座位12例、立位1例、歩行14例であった。
【考察】
当センターの患者は、転院が多く自宅退院は僅かであり、その殆どが完全離脱した症例である。入院中患者の多くは離脱途中だが、中には入院が長期に及び治療目的が人工呼吸継続である患者もいる。離脱が出来なかった患者は殆どが死亡退院である。入院時と最終・退院時を比較したところ、意識レベルはほぼ変化が無い。一方で、ADLは完全臥床の減少と、車椅子、端座位、歩行の増加が見られ、向上している。当院の患者は、意識レベルに関わらず、リスク優先のため半数が完全臥床で入院して来る。この様な患者のADLが向上したのは、病棟でのリスク管理や理学療法を含む治療を経て病態が安定した後、可能な患者には積極的に運動療法・ADL練習を実施出来た為だと考える。
【まとめ】
人工呼吸センターにおける理学療法介入患者の傾向を知る事を目的とし、171例を対象として調査した。入院時に比べ最終・退院時意識レベルの症例数は変化が無かったが、ADLは向上していた。今後は、意識レベル、ADL変化の疾患別、転帰別の傾向、更に理学療法介入状況を詳細に調査する。
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© 2008 日本理学療法士協会
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