理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1201
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生活環境支援系理学療法
当院における訪問リハビリテーションの対象者に関する調査
稲田 由紀芹田 透菅沼 一男大江 小百合山口 僚子
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抄録
【目的】訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)では、機能維持を目標とする対象者が多いとされている。しかし、当訪問リハでは病期の短い者、またはリハビリ目標を達成し訪問リハが終了となる者など機能改善を目標とした対象者も少なくない。そこで、機能改善者に主眼を置き当院での訪問リハ対象者の傾向を調査した。
【方法】対象は、2006年9月から2007年10月までに当院より訪問リハを実施した全59例とした。性別は、男性31名、女性28名。年齢は、42歳から92歳、平均74.0±10歳。疾患別内訳は、脳血管障害38.9%、整形疾患25.4%、RA5.0%、パーキンソン病6.7%、呼吸器疾患6.7%、その他16.9%であった。調査項目は、(1)開始時の疾患発症からの病期、(2)終了者の割合および理由、(3)退院から訪問開始までの日数とした。
【結果】(1)病期は、脳血管障害は6ヶ月未満が26.0%、6ヶ月以上1年未満が26.0%、1年以上47.8%であった。整形疾患は3ヶ月未満が26.6%、3ヶ月以上4ヶ月未満が26.6%、半年以上40.0%であった。(2)終了者は37.2%で、理由は、目標達成36.3%、デイサービス移行13.6%、外来移行9.0%、入院9.0%、死亡18.1%、その他13.6%であった。目標達成者の内、75.0%が整形疾患で病期は83.3%が4ヶ月未満、利用期間は83.3%が4ヶ月未満であった。(3)退院から訪問開始までの日数は、3~62日、平均20.6日であった。その内32%が10日以内であった。
【考察】当訪問リハにおける対象者の病期は、脳血管障害で6ヶ月未満26.0%、整形疾患で3ヶ月未満26.6%と、回復期に相当する者が存在し、目標達成により終了に至る対象者は36.3%であった。一般的に、訪問リハの位置づけは維持期リハビリテーションであるが、回復期に相当する者も存在した。理由として、当訪問リハではケアマネージャーとの連絡を密にし、入院中に担当者会議を行い早期から訪問リハへの移行を行っている。ゆえに、医療機関から訪問リハへ速やかに移行できるような連絡とシステム作りが早期の訪問リハを可能にすると考えられた。一方、社会的背景として、在宅支援強化を目的とする2000年の介護保険導入、2006年の医療保険改訂でのリハビリ算定日数の規定により在院日数の短縮がさらに強まった。その結果、今まで医療機関にてリハビリを実施していた回復期に相当する対象者が、訪問リハビリの対象となってきていると考えられた。今後は、回復期に相当する比較的病期の短い対象者が訪問リハに移行する事例が増加すると考えられた。
【まとめ】訪問リハでは、回復期に相当する者も対象となり、機能改善により目標達成し終了に至る者が存在した。これは、医療機関から早期に訪問リハに移行することで今後も増加すると考えられた。
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© 2008 日本理学療法士協会
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