理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1259
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教育・管理系理学療法
訪問リハビリテーションに携わる理学療法士,作業療法士の職務満足感調査
長山 七七代佐藤 裕子松田 智行川間 健之介
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抄録

【目的】訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)に携わる理学療法士(以下、PT)と作業療法士(以下、OT)に対して職務満足感という観点から得られた訪問リハの実態と、浮かび上がってくる問題点について分析し考察する。【方法】関東圏内の訪問看護ステーション(以下、訪看)17カ所と、病院や診療所、介護老人保健施設のリハ部門(以下、病院等)を含めた19カ所の訪問リハに携わるPT、OT計148 名(うち訪看64名、病院等84名)を対象に、無記名自記式のアンケート調査を行った。訪看と病院等の共通項目として、基本属性、訪問内容等に関する19項目とした。加えて、看護師の職務満足度に関する研究で主に使用されているStampsの「病棟看護婦を対象にした職務満足質問用紙」を参考に5段階尺度の質問項目も作成した。質問項目48項目中28項目については職種、職域を踏まえた言葉に修正を加え使用し、さらに13項目を追加した計61項目を使用した。【結果と考察】69 名から回答が得られ、回収率は46.62%であった。対象者の所属は、訪看護36名(うち常勤24名、非常勤12名)、病院等33名(うち常勤29名、非常勤4名)で、職種はPT46名、OT23名であった。平均年齢は31.12±5.18歳、訪問経験年数は、2.44±1.83年であった。訪問リハに携わるPT、OTの職務満足感を規定する因子を抽出するため主因子法、Varimax回転による因子分析を行った結果、累積寄与率56.86%で『他者の評価』『職務の達成』『職場環境と人間関係』『職場における受容』『訪問リハ回数』『訪問リハ内容の共有』『専門性の理解』の7因子が抽出された。所属、勤務形態、訪問経験年数等による差を検討するため各条件で7因子の因子得点についてt検定を行った結果、『訪問リハ回数』については訪看と病院等に有意差があり(t(64)=3.28,p<.01)、訪看のPT、OTは訪問リハ回数に関する満足感が得られにくく、訪看における訪問リハ回数の制限を受けた結果とも考えられた。『専門性の理解』については常勤と非常勤に有意差があり(t(64)=2.02, p<.05)、常勤では日々の仕事の中で、他職種との連携が多い中でPT、OTの専門性の理解を得られているという実感を持ちにくいことが考えられた。『職務の達成』については訪問経験年数1~3年以内と4年以上に有意差があり(t(54)=2.46,p<.05)、訪問リハ経験が浅い時期には技術面や対人面における自信が持てず満足感につながりにくいことが示唆された。【まとめ】訪問リハに携わるPT、OTの職務満足感7因子の得点を所属や職種等で検討した結果、有意差の認められる項目があった。Weismanらは、利用者の満足度に有意に影響を及ぼす訪問看護師の職務満足領域に重点的に働きかけを行うことで、系統的に利用者の満足度向上を達成できるとしていることから、訪問リハに携わるPT、OTの満足感を捉えることは利用者の満足感向上のためにも重要な視点であると思われる。

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© 2008 日本理学療法士協会
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